「デリヘルの恋人たち(三)」
一足先にベッドに横たわりながら、すでに彼女の温もりを陰茎に感じている。今日もまたあの濡れた穴に入る悦びを夢見ているのだ。バスタオルは巻かずに股間のところに乱暴に載せてある。隠しておくことで彼女が剥いでくれるのを待つことも快感への階段であるから。身体を拭き終えた影がこちらに近づいてくる。髪を後ろにまとめ、西洋人のような体形が目の前に現れる。部屋の明かりを受けて肌がまだ湿っているのが分かる。そっと肩の骨に手を置くと、それだけで陰茎に血液がどっと流れ込み鎌首を上げ始めるのである。
キスをされながらバスタオルが奪われた。彼女の左手が優しく触れ、軽く摩りあげながら、指が踊り、その棒状のものを握る。緩める。また握る。キスが続く中、溜息がお互いに漏れて、早くもっと絡み合いたいと頭の中ではストーム状態であるが、焦らずに小さな出来事も大きな事件になれば、この短い逢瀬を何倍にもできるのではないかと妄想しているのだ。
彼女がすべてを脱ぎ去り、乳房と乳首のシルエットが揺れる。その先端に指をそっと触れ、摘み、緩め、摘み、喘ぐ声を確かめながら、身体全体を万遍なく触る気持ちで愛撫する。彼女の口が陰茎を咥えて、口の中の濡れた舌が舐めまわして、快感を得ているのが分かる。この気持ち良さは誰がやっても同じなのかとも思うのだが、何度も舐められ咥えられてみると、他の女性とは違う方法でしているということが分かってきた。
つまりコンビネーションなのだ。舌と口と手と声とその乳房や性器や陰毛など身体のすべてが協力して、我が陰茎や睾丸を中心に弄び、そして自分も興奮し濡れていくのを感じていく。いま、割れ目が目の前にあり、その峡谷の闇の中をじっと見つめる。膣穴から染み出ている液の音に耳を澄ませる気持ちで。そして、闇の中にある皺と襞をいろいろな角度から眺めて、どこが一番舐めやすいのかを冷静に考える。いつもとは違うことをできればしてあげたい。
彼女のクリトリスは所謂包茎であった。その薄皮を被った丸い隆起物は濡れて光とまるで真珠のように見える。それを確認するのも好きなことの一つである。割れ目をゆっくり舐めあげ、舐め下げて、クリトリスの部分を意識しながら強さを変えて行き来すると、その持ち主が尻をくねらせては息のような声を漏らす。穴からも液が漏れてくる。この舐め合いがある意味前菜である。この液という液が身体から沁みだして、意識からも分泌され、すべてのものがヒタヒタになっていく過程の中で、最終形の射精とエクスタシーへ登りつめるための儀式のようであった。
いま、お互いに咥えたまま、同時に声が出た。準備が出来つつあるのが分かった。(つづく)
作品名:「デリヘルの恋人たち(三)」 作家名:佐崎 三郎