書き散らした言葉たち 2012.12
<見知らぬボクたち>
ボク達は
一生出会えないことだろう
声も姿も知らぬまま
片言だけを
かけ流し
やがて
忘れ
消えて
それきりの
ボク達は
分かり合えることなど生涯ないのだろう
想いも本音も明かさぬままで
戯言だけを
繰り返し
やがて
飽きて
いなくなる
<黒き土>
黒き土
不毛の地
育つもの僅かに
生けるもの疎らに
焼け爛れた岩の
溶け出した岩の
恵み薄き
赤黒い土
照りつける日差しに
乾いては
打ち寄せる寒風に
凍りついては
何物も寄せ付けず
何物も受け入れず
冥府の如き広がるは
黒き黒き土の大地
<そのままでも いいから>
迷ったなら 引き返せばいい
間違いなら やり直せばいい
悩み苦しむことが
人らしくもあるのだから
良いことなんか ないかもしれない
楽しみなんか ないかもしれない
けれど痛みも辛さも
ずっとは続かないものだから
綺麗事なんて 云う気にもなれないし
優しいカミサマなんて 信じてもいないけれど
逃げてしまうのも 倒れてしまうのも
人らしさだと思ってる
いっぱい人はいるのだから
それぞれに人は違うのだから
弱音を吐いたり 泣き崩れても
笑顔もきっと何処かにあって
何時かは誰もが
進んでゆける
そうボクは思ってる
勝手な想いに ほかならないけど
<雨が>
湿り気に耐え切れず
海よりの風がもたらしたのか
冷たさを支えきれず
山よりの風の取りこぼしか
雨が
雨が
雨が
音をたて降り始める
風に流されて吹き込んだ冬の雲から
季節混じりの冷たい雨が降り始める
海ならば氷に 山ならば雪にと
変わりゆくのであろう そんな雨
ただ寒く
ただ冷たき雨が
呆然と この街を見下ろすかのように
降り続いている
<不毛>
饐えた言葉と爛れた想い
纏わりついて粘ついて
逝き場も無くし張り付いて
乱れた咀嚼重なる慟哭
熟した腐肉の果実のように
歪みとズレは分裂し
ボクは幾重に重なって
ボクは幾重に連なって
<どこ吹く風>
饐えた言葉と爛れた想い
纏わりついて粘ついて
逝き場も無くし張り付いて
乱れた咀嚼重なる慟哭
熟した腐肉の果実のように
歪みとズレは分裂し
ボクは幾重に重なって
ボクは幾重に連なって
<イヴじゃねえよ>
疲れきって冷え切った
ボクを迎える
ご馳走の数々
悴んで凍えそうな
ボクが目にしたもの
冷たいサラダ
冷たい飲み物
冷たいデザート
冷たい…
ボクは無言でそれを皆
隅へと押しやった
<羽を広げて>
ボクはきっと
何時かきっと
コノコエダメデ ミヲヨジル ウジノヨウナセイカツヲ オエ
生まれ変わって
羽を広げて何処かに旅立つのだろう
オブツニムラガル ハエノヨウニ
<軋む呻き>
凍りついた空気の中
軋む呻き 響いて
何もない其処で
軋む呻き 消え入りそうに響いて
赤く染まる涙 垂らしたまま
軋む呻き 終わることなく響かせて
<本音>
ざわざわと淫らに蠢く心
ぶちぶちと千切れ始め
ぶちぶちと剥がれ始め
むき出しのどろりとした感情が
嫌な匂いを漂わせ
顔を覗かせる
ぐろぐろとした行き場の無い本音
ふつふつと集まり始め
ぐつぐつと高まり始め
明け透けで如何わしい欲望が
したり顔で
穴があくほど狙っている
<凝視>
真夜中に
シラナイダレカヲオモイナガラアエギツヅケルキミヲ
ボクは黙って見続けた
ボクは黙って見続けた
<暮れゆく時に去りがたく<>
時 みちるとも
時 暮れゆくとも
何も変わらず 何も変えれず
日々 愚行を嘆いては
日々 徒労を足掻きては
俯いて 背を向けて
堕ちゆくモノを見つめては
過ぎ去るモノに縋ろうと
ただ ボクはそんな風に
ただ ボクはいつもそうで
作品名:書き散らした言葉たち 2012.12 作家名:フラメント