はじまりの旅
先に流されたニタは運動神経が抜群に優れているのでなんとかなるであろうが、ディレィッシュの場合は一抹の不安がよぎる。だが、もうどうしようもないことをハッシュは受け入れ、離れ無いようにぎゅっとクグレックの腰に右腕を回して、波の勢いに体を任せた。この洞窟を抜ければドラゴンがいるという山頂に近付くとティアが言っていた。だから奇跡さえ起これば、皆そこで合流することが可能だ。
「クグレック、絶対に離すなよ。」
「…うん…!」
声を発するのもしんどかったが、クグレックは根性で声を出した。必死にハッシュの熱い胸板にぎゅうとしがみつく。