『 恋愛と結婚~相談所 』
「恋愛にはもう飽きました」
「恋愛って、結婚に繋がるものなのではないのでしょうか」
「結婚は、どうすれば出来るんですか」
「結婚するには、タイムマシンが必要です」
「恋愛結婚がしたいのですが」
「通勤電車でぶつかりましょう」
電話相談ならまだしも、そんなところにまで出掛けてしまう人など居るのだろうか。
という場所で、私は働いている。
事務所の名前は、『恋愛と結婚相談所』である。
あまりにも仕事が無いので相談したところ、この事務所で働くことになったのだ。
しかし、困ったことに私は恋愛と結婚に長けている者ではない。
それで、この事務所で訓練されていると気付いたのは、就職して3年が過ぎた頃であった。
「離婚原因はそれですか」
「結婚原因と同じ原因です」
「恋愛ドラマと同じ様な恋愛はどのようにすればできるんでしょう?」
「一緒に現代ドラマについていけば良いのではないですか」
「昔の恋人が忘れられないのですが」
「連絡して会ってみましょう」
「恋愛と結婚、それが同じ分野から派生しているとは思えません」
「恋愛の進化その後が結婚と言われています」
「ドロ沼はこりごりですが、それ以外、恋愛とは思えなくなったんです」
「略奪系ですか。それ以外、ドロ沼にはなりません」
「結婚がゴールとは思えないからですが」
「結婚はスタートだと言われています」
そうですか。私は3年間を無駄に過ごしてしまいましたか。
自分の体験記を書く人などいないが、語る人は多く居るということを人生勉強だとする。
仕事は金になるが、金は物になる。相談する人を皆、間違えている。
作品名:『 恋愛と結婚~相談所 』 作家名:みゅーずりん仮名