怪我猫看病記 ~とら~
先住猫ミシェルのときは、怪我を負って どれだけ経っているかもわからない化膿創だったということもあっただろうが、お座りする時の接地部位だったこともあり、たっぷり2ヶ月かかっても、 まだ繰り返しかさぶたをはがしてしまっていたし、1年以上たった今も3本の脚のうち1本は毛が生えずつるりと禿げているのだ。
なんという違いだろう。
体重は、自宅の体重計で測ったら、1400グラムほどになっている。
実に元気で、怪我した前脚も良く使い、じゃれたりよじ登ったりする。
里親探しをはじめようかと思う。
このまま飼いたいのは山々だけれど・・・
11月21日
経過観察とワクチン接種のため、受診。
元気一杯で動くので、レントゲン撮影は、それはもう大変だったようだ。
先生は、骨のつき方の曲がりを相変わらず気にしておられたが、しっかり動くし、見た目もほとんどわからないほどになっている。
手のひらに乗るほどの小さな子の、竹ひごほどに細い骨を2本も接いで、機能を回復させてくださった先生に感謝。
これで、この怪我に関する治療は終了です、とのこと。
よかったね、とら。
ワクチン接種をお願いして、今後里親さんを募集するにあたり、いろいろ相談に乗っていただいた。
うちにいる先住猫たちのときも相談した結果、実は血液検査をしていない。
みーやをシェルターから譲り受けたとき、まだ1200グラムをちょっと超えたばかりの小さな子で、血液検査をするにはちょっと早いし、シェルターではやっていないそうで、それを納得した上で譲渡ということだった。もちろん、駆虫と予防接種は済んでいた。
その後ミシェルを保護したとき、相談した。そうしたら、先生は、要望があればもちろん検査はするけど、あえて必要ないのでは?とおっしゃったのだ。
HIVや白血病のキャリアだとわかったとしても、発症するかどうかはわからないし、発症しないように気をつけることも、なにか特にしてやることもできるわけではない。一緒に暮らしていくと決めた子たちなのだから、痛い思いをあえてさせて、しかもお金かけて、検査する意味が果たしてあるでしょうか?と。
目から鱗だった。
ただ、今回は、血液検査をすべきかどうか考慮中。里親探しをするなら、検査したほうが良いのか・・・でも、検査をしていないうちの先住猫とだんだんに関わらせていく中で、先住猫たちの検査をしていないのに、あまり意味はないかも知れないとも思う。
とらの検査結果の出た後、もし先住猫たちがキャリアだったら、感染する可能性がないとは言えないから。 実際、そういう事例が里親募集サイトであって、禍根を残したこともあったらしいし・・・
外猫だったので、一応ノミ・マダニ対策のフロントラインと、駆虫もすべきかなと思っていて、それなら3匹同時にやったほうがいいのか相談した。 普通に飼っている猫でも定期駆虫という考え方があるし・・・
すると、先生は、里子に出す直前に、するならすれば?とおっしゃった。
里子に出す直前に薬をつかっていれば、後々のトラブルになることも少ないだろうと。譲渡前にうつされたと里親さんが動物病院で主張するのにしばしばつき合わされるのだそうだ)
現在、それらしき痕跡がない(とらは下痢もせず、虫を見たこともない、ノミの糞らしきゴマ粒のようなものも見かけない)こと、我が家に人間の乳幼児がいないこと、先住猫たちは、もう大人で健康体なので、お腹に虫がいたとしても免疫力で成長させないよう押さえ込んでしまうものだから、それほど問題は起こらない、と。
これにはまたまた、目から鱗。
色々考え方はあると思う。 今は便利な世の中で、ペットを飼うにしても、ネットで調べることもできるし、昔に比べていくらでも情報が入ってくる。子供に猫が欲しいといわれて、里親募集サイトなどをうろついていたので、昨今の譲渡では、血液検査と駆虫と予防接種は済ませていないとだめ、みたいな情報に振り回されていたのかもしれない。
そんな話をしていて、最後にドクターに言われたことが、現実になってしまった。
もう、情が移ってしまったのではありませんか?
このまま、飼われては?
作品名:怪我猫看病記 ~とら~ 作家名:白久 華也