疑問の女
俺が大学の学生食堂で、1人でボッチ飯を食っていると、女が1人、俺の隣の席に座ってきた。
「どうぞどうぞ、えーっと」
見覚えのある女だ。
「同じ学部の杉原、忘れた↑?」
「あーあー、杉原さん、そうそうそう」
忘れる以前に、覚えとらんわ。
「1人↑?」
しかし、いちいち、わざとらしく語尾を上げて、疑問文であることを強調する女だな。
「まぁね」
見りゃ分かんだろ。
「寂しい↑?」
「別に」
「そうよね。なんだか、1人も楽しい↑?」
お前と一緒にするな。
「なんか、私たちって、気が合う↑?」
そーろそろ、鼻についてきたぞ。
「杉原さんってさ、語尾を上げずにしゃべったりとかできる?」
「あっらやだ。出てる↑?」
「うん」
「これって、癖↑?」
「癖なんだ」
「気を付けてるんだけど、出ちゃう↑?」
「気を付けてるんだ」
「でも、一種のアイデンティティー↑?」
「それって、放置してるってことだよね」
「可笑しい↑?」
「不愉快だよ」
「ご馳走様↑?」
「しっかり喰っとったんかい? しかも、超速で」
「楽しかったわ。今度も、会える↑?」
「2度と御免じゃ!」
「私たちは、また、会うわ」
「なんで、そこだけ疑問文じゃないの?」
「バッハハイ↑?」
そして、彼女は去って行った↑?