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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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金魚さんとの出会い。

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お母さんと御使いの話をしていたら、ステファノという人の話をお母さんがし始めた。
『ステファノは嘘付き呼ばわりされて、裁判にかけられたの。その裁判の中でもたくさんの人がステファノに対して、言ってもいないのにステファノが言ったように言ってたの。その時にステファノがその人たちの方を振り向いたの。その振り向いた時の顔が御使いの顔のように見えたの。』
お母さんはそう宗教で教えられていたと言う。
その話を聞いたお母さんは、
『宗教のおばちゃんたちは、その時の振り向いたステファノの顔の事を、“とても優しそうな顔をしていました。”って言うんだけど、お母さんは違うと思うの。自分が無実の罪で裁判にかけられてる時に、優しそうな表情をするとは思わないの。お母さんは御使いの顔って凄く冷たい表情をしてるんじゃないかって思うの。宗教の本に、その時のステファノの姿が挿絵で描かれてたけど、全然優しそうな顔じゃなかった。どうしてあの挿絵を見て優しそうって言うんだろう…。冷たくてね気持ち悪いっていうか…全部同じ色をしててね、兎に角あんな顔で見られたらお母さんなら目を逸らすかなぁ。』
とのことだった。
それを聞いていてまた何かが見えてきた。
『………はぁ~。………お母さん…、もしかしてこれが御使い…?!どうしよう…また見えた…。』
私のため息とは真逆に、
『ウソーーーっ!!見えたっ?!どんな姿?!表情は気持ち悪い?!』
と質問攻めになった。
しっかり見えた訳ではないのに困る…。
見えてくるまでに時間もかかるし、何処から答えたらいいのか…、
『ん~、…あっ、お母さん、絵画に描かれてる赤ちゃんの姿した天使…、あんな感じ。あれの表情は優しく笑ってるけど、これは笑ってない。って言うか…首から上は石膏で出来たように表情すらない。絵画のやつは大きな羽が描かれてるけど、私の見えてるやつは羽があるのかないのか分からない…。あったとしても背中に小さいのかも…。肩甲骨のあたりに隠れるくらい小さいかも…。しっかり見えないから何とも言えないけど…。』
と私が説明してるのにお母さんは、
『あーあーあー、絵画のねぇ~。はいはいはい。それの表情がないかぁ~。ん~…、お母さん今まで絵画を見て羽の大きさのバランスがおかしいなぁ~って思ってたのよ~。別で取って付けたみたいにあるから…。そういうことかぁ~。』
と言って来た。
『絵画を描いた人にも御使いが見えた人っているんじゃないの?!羽がデカイバージョンが見えたかもしれないし…。分からないって。それよりも、今まで絵画の意味が分からなかったけど、キリストが見えたり御使いが見えたりで、絵画の見方が変わるかも…。今まで見えなっか面白さが見えてくるかも…。これはラッキーだね!!ちょ~上(神様)のおかげ~。』
とお母さんと電話しながら、私は親指を立てて上を指した。
お母さんには見えるわけもなく…。
そしたら、上が連打で肯いて、
『良かったですね、楽しさが増えて。絵を描いた人の努力もあるので、その努力も見えるといいですね。』
と言って立てた親指返しが届いた。
お母さんが、
『絵画の見方が変わるか~。お母さんも楽しみ!!あなたお願いね!!それで、他に御使いの姿はどんな感じなの?!』
と聞いて来た。
『ん~…、こっちを見てるような見てないような…。石膏で出来た顔として、目がない…。』
『目がないっ!!』
お母さんからデカい声が届いた。
『うるさいよ!!目がないっていうか、めんくりたまがない。まぶたを閉じてるのか開けてるのかは分からないけど、人がまぶたを閉じてる時のような感じ。』
『ほ~、なるほど。それで?!他には?!』
『他に…、…話しかけてみたけど、反応しないのか…してないのか…。あっ、耳が見えてるけど、耳までも石膏で出来てる。耳の穴がない…、と言うことは…、鼻の穴は…、鼻の穴もない。ビニールで出来てる赤ちゃんの人形とかの目とか描いてない姿にそっくり。人形も穴がないでしょっ?!それを想像すると分かりやすいかも…。』
お母さんは肯き、
『はいはいはい、分かった分かった!!それで話しかけてもこっちを向かないの?!』
と聞く。
私はどうしてか分からず唸り考えた。
お母さんはその答えを待っている。
『あっ、お母さん、上が出て来た。“御使いに話しかけても御使いには聞こえませんよ。あいちゃん(仮名;私)が、《こっちを見てるような見てないような…。》と言っていましたが、耳は聞こえません。耳は聞こえないし目は見えないし喋ることも出来ないし匂いも分かりません。それが御使いです。それの必要がないのでそれで良いのですよ。御使いはキリストと繋がっていて、表情はありませんが喜怒哀楽を持っています。泣くつもりもないのに涙が出たのならば、御使いが流している涙かもしれませんね。”だって。』
『聞こえないし喋れないけど、喜怒哀楽はあるかぁ~。』
『表情に出ないだけで、感情はあるってことなんじゃないの。何かを感じる心は持ってるってことなんじゃないの。』
と私が言うと上が、
『たまに胸騒ぎとか…、第六感が働いたとか…聞きますが、もしかしたら御使いが助けてくれてるのかもしれないですね。』
と言った。
お母さんは思いっ切り肯いていた。
ちゃんと事実が分からないので、私は肯きたくはなかったけど、思い当たる節があるから何とも言いようがなかった。


そんなことも忘れて、気が向いてはリップの事を思い出していた。


リップに久しぶりに再会出来たにも関わらず、それでも私は、“リップを返して~。リップを返して~。”と言い続けた。
すると上(神様)が渋々な顔で、
『はぁ~。リップちゃんはそっちの世界には返せないの。“神様は何でも出来る。”とあいちゃん(仮名;私)は言いますが、そこはルールがあるの。ペットが死んでしまって悲しい思いをしている人はいっぱいいるの。最近あいちゃんは、“金魚さんが欲しい。”と言っていたので、金魚さんを飼ったらどうですか?』
と言った。
そう言われる数ヶ月ほど前から、どんな水槽にするかどんな金魚を飼うか…を考えていた。
そして上は、
『あいちゃん、もう少ししたら誕生日でしょ?!そのお誕生日に合わせて買ったらいいんじゃないのでしょうか。』
と言うので、そうすることにした。

どのくらいの水槽にするかを決めている時に、いつもの場所である第三の目(ドラゴンボールの天津飯にあるおでこの目)の所に金魚がいきなり見えた。
誰だこいつは…と首を傾げた。
私が欲しいと思わない普通の金魚が一匹、そして徐々にその後ろに同じ形の金魚がもう一匹薄っすらだけど見えた。
色は全身がオレンジ色の金魚とお腹の部分が三角形型の白い模様がある金魚だった。
でも白い模様のある方は、見えそうで見えなくなったり…と出ては消えるような感じだった。
見えた意味は分からないけど、兎に角私が欲しいと思っていた金魚はランチュウで見えていた金魚は琉金だった。
なので気にせずそんなことも忘れて、水槽も買って、金魚探しが始まった。

しかし、探せど探せどランチュウは見つからず…、見つからずと言っては語弊があるか…、何処の店に行ってもランチュウはいるが全て成長している大人だった。