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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第八話

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「隆一郎さん、本当にご親切に言って頂いてありがとうございます。夕美はとても幸せ者です」

「そんな風に話すんじゃないよ。おれたちは一つしか離れてないし、みんな仲良く暮らしていくと決めたんだから。普通に話してくれよ」

「それは・・・うれしいですけど自分を見失ってはいけないと思っています」

夕美の言葉は隆一郎の胸にどのように映ったのだろう。聞いていた母親の由美子は一つの思いが浮かんだらしく隆一郎に向かって話した。

「隆一郎、夕美さんを困らせてはいけませんよ。今までどおりにやってゆけばいいんじゃないの?ねえ、夕美さん?」

「はい、おばさま。今までどおりでお願いします」

由美子はいつか近いうちに夕美に同じ女として大人の話をしたいと思っていた。
それは自分が経験した後悔の日々を繰り返してはならないとの思いと符合していた。

誠一郎がいよいよアメリカへと旅立つ日がやってきた。長い別れになるわけではないが、今までそんなことが無かっただけに雅子の気持ちも揺れ動いていた。それは寂しいという思いより自分一人になってしまうことが不安に思えるのだった。
作品名:「夕美」 第八話 作家名:てっしゅう