電子の海で溺れてる。
マイナージャンルのFPS
FPS、というジャンルは多分ネットゲームの中じゃかなりマイナーな方に入る。初心者の敷居が高いというのもあるが――そもそも日本ではあまり好まれないのだ、FPSというジャンル自体が。
最近ではmine○raftというサンドボックス型FPSが流行ったおかげか多少はFPSに目を向けてくれる人が増えたのではないか……と密かに願っているがそもそも某四角形の塊を詰むゲームのジャンルがFPSだと知っているのは一体どれ程のプレイヤーか気になる所だ。そもそもFPSとは戦争ゲームの略称では無い。正式名称はFirst Person shooter、つまりは一人称視点の銃なり素手なりを使うアクションゲームだ。広義なら一人称ならば剣を振り回そうが魔法をブチかまそうが何でもいい、一人称ならばいいのだ。ただ筆者の知る中で魔法等中世的な要素を導入したゲームで一人称視点というのは非常に少ない。要するにゲーム会社さん絶対課金するから面白い一人称魔法系オンゲ出してくれ。
論点がずれてしまった、話を戻そう。
FPSというジャンルがマイナーな理由について筆者個人の視点でもう少し深く語ると「人の入れ替わりが激しい」事にも一因があると思っている。正確に言えば全体的に年齢層が若いのだ。
カナダの某大学の研究者によれば脳の反応速度は24で限界を迎え、プロゲーマーでも20代前半で引退していく人間が多いシビアな環境。これはプロアマに関係なくFPSの中では「20過ぎたらおっさん認定」を食らう事に他ならないのだ。かく言う自分も12歳からちょくちょくFPSに触れているものの、反射神経が良かったと体感できる全盛期は15~16の糞餓鬼(未だに19の糞餓鬼だが)の頃で元々才能が皆無なのと相俟って当時よりどうしても反応が衰える。敵が姿を見せた時に眼では認識していても腕に「撃て」という命令を出すのが遅いのだ。勝てる!と思った相手に負ける時ほど苛立つ物は無く結局PCスペックや回線の悪さでストレスゲーと化したFPSは引退者が増えてしまう、という仕組み。それだけ入れ替わりが激しければ当然古参プレイヤーが若い新規プレイヤーを誘うなどという図はMMO等と比べると殆ど見られない。更にゲーム自体のグラフィックも素晴らしい速度で進化を遂げるので古いゲームは数年で淘汰される事が多く、銃の撃ち方(リコイル)、ポジションや空爆(空爆が分からない人はgoogleで検索)等など覚える事が盛り沢山の対人ゲームでは前ゲームに慣れきってしまったプレイヤーではゼロから始めた人間に比べてどうしても劣る。つまりはそういうことなのだ。
まあぶった切ってしまえば日本人という人種がDQやFF等の「レベルを上げる」タイプのゲームに慣れてしまった人種なので「身一つで銃乱射してゾンビや人と殺し合う」ゲームに敷居の高さを感じるのも仕方が無いのだが。
ただFPSというジャンルはゾンビや戦争するだけが能ではない。スポーツとしてのFPSというのもあるのだ。
例えばCounter-Strike:Global Offensive、略称CS:GO。これは毎年高額な賞金を懸けた大会が開催されており、昔と比べ過疎化が進んだとはいえそれは日本だけで海外では女性オンリーの大会が開かれるほどの白熱っぷり。少ないが日本人選手も活躍している。海外では会社側が強いゲーマーを契約金を支払ってプロゲーマーとして雇用する事があるほどなので殆どが「遊びで終わってしまう日本」とは全く違う世界が広がっているのです。もしかすると国内との差はこの「国内ゲーマーの扱い」の部分の力の入れ方にあるのかもしれない。まあ一昔前まで陰キャラがするような扱いだったネットゲームにいきなりプロ云々を持ち込むのも難しいとは思うけれども、これも時代の流れとして早く体制を整えてほしいものだ。
またサバイバルとしてのFPSもある。これは某マ○クラのように身一つで放り出され長時間水中に潜りゾンビを燃やして素手で木を砕き牛を殴り殺す……というわけではないが一人プレイでも遊べるようなホラゲーも海外から名作が多数出ている。こちらは一人プレイなので多少敷居が低いのでやる価値はある。というかFPSホラゲをやって国内で過疎化が進むFPSというジャンルにどっぷり浸かって欲しい。更に言うならDayzのような身一つから他のプレイヤーと協力したり騙し合ったりするサバイバル風味のオンラインゲームもあるので是非とも友人と遊んでほしい。緊張感が癖になること請け負いだ。
ここまでだらだらと語ったが今度はFPSにあってMMOには無いメリットを語ろうと思う。
FPSのメリットと言えばやはり「連携」だ。クラン(MMOで言うギルド)同士の戦闘(Clan War -略称CW)では殆どのクランがskypeやTeam Speak等を使いながら試合をする。これはMMOには見受けられない要素で非常に面白い。チャットや文面から想像できないような性格の人間も数多く職種を聞いたら自営業だった、弁護士だった、なんということも多々ある。世間を知らない中高生からすれば彼らから色々な話を聞くのも貴重な体験になるだろうが、決して彼らをおっさんとは言ってはいけない。おっさんなのは彼らも承知済みだ、触れるな。
他にMMOに無い要素として触れるとするならば、どれだけ課金した所で強くはなれないという事だ。武器や防具があるとはいえ多少装備が劣ろうともプレイヤースキルが高い者が物を言う世界だ。自分の腕に自信がある者向けのゲームと言ってもいい。MMOに飽きて自分の実力がどれ程か試したくなったならやるといい、筆者もそのクチで始めた人間だ。
最期に結論を言うとFPSは向き不向きがあるゲームとはいえ、決して敷居が低いゲームで無い事は分かって欲しい。是非とも一度は遊んでみてくれ、国内FPSというジャンルが過疎化で消失する前に。
作品名:電子の海で溺れてる。 作家名:雛揺真菜