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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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「キャプテン、この星、空気もあり水もあり、我々の星によく似た惑星のようですよ」
「そうか、ラキアー、それじゃもう少し接近してみてくれ」
 時空貫通システムを使い旅をしてきた宇宙探索船、いわゆるUFOは、現在月の辺りでホバリングし、地球を窺(うかが)ってる。

 ラキアーたちが住む星は50年後に大きな隕石が落ち、滅びることが判明した。
 これにより移住できる星を見つけ出せとミッションを受け、一年前に宇宙空間へと飛び立った。
 移住できる星の発見、高度な知能を持つ彼らにとって、それはそう難しいことではなかった。生存可能な星はすでに白鳥座に発見済みだ。

 しかし、旅のおまけに……、とはいっても、白鳥座からの距離は600光年。それでも彼らにとっては少し足を伸ばした程度のもの、太陽系までやって来たのだ。
「キャプテン、このプラネットには我々のDNAと酷似した、そこそこの高等生物が生存しているようです。チキューと呼ばれてますよ」
 一等操縦士のラキアーはキャプテンにまずは簡単な報告をした。そして、「5分後には着陸可能ですが、どうされますか?」と次の指示を仰ぐ。

 するとキャプテンから「ラキアー、ちょっと待て!」と制止の言葉が返ってきた。その後、矢継ぎ早に……、
「チキューのこの小さな島の何カ所かで、チカチカと煌めくものがあるぞ。もっと画像を拡大してくれ!」
 これを受け、中央司令室のスクリーン上にズームアップされた。

「キャプテン、これって一体何なんでしょうね。火山の噴火でもないし、ほぼ球状で赤や黄の……、いわゆる溶接の火花のようなものが飛び散ってますが」 
 ラキアーは目を丸くし、驚きが止まらない。
「さらに理解できないのは、連中がその周辺に集まって、なんと上向いて口を開けてますよ。これって未成熟な星で時々観察されるオカルト的な儀式なのでしょうか?」

 あとはただただ首を傾げるだけだった。