33粒のやまぶどう (短編物語集)
ステージの下手からトゥで立ち歩き、クロワゼでポーズ。左足プリエで右足前に上げ、つきさし、右足パッセしながら……、手をたたく。
こんな動きからライモンダの第三幕ヴァリエーションは始まる。
そしてバレリーナは無表情、いやむしろ毅然と澄ました顔。
なぜなら──、ライモンダの婚約者・ジャンは戦地へ。その間に、異国の王子から熱烈にプロポーズをされる。帰還したジャンは決闘を挑み、王子は敗れ死ぬ。この後二人は国王の面前で結婚式を挙げる。
だが貴族の娘だったライモンダ、王子が死に、心の内には複雑な思いがある。それを吹っ切るかのようにまず手をたたき、気高く舞い始める。
作品名:33粒のやまぶどう (短編物語集) 作家名:鮎風 遊