まい子は、お母さん子 「ねむり」
どうやら、かぜをひいたみたい
わたしがふとんのなかで、うんうんと
うなっていると、いつものように
まい子がやさしく笑って部屋へ入ってきた
わたしのひたいに手をのせて
ほんのりつめたくて気持ちがいい
「ありがとう。」
わたしがお礼を言うとまい子は
「だあ だあ」と、てれたように
顔を両手でかくして、部屋の外へかけていった
目の前のすべてがまぼろしのよう
気のせいかしら、
まい子が外に出ていってから
急に部屋が暗くなったように感じる
そっと窓の外に目を向けてみると
いつのまにか真っ暗で、空にはいちばん星が
まばゆい光りをきらめかせている
となりの部屋からまい子の元気な笑い声が
むしょうにやすらかに聞こえてくる
わたしは、熱と睡魔に視界をゆさぶられながら
遠のいていく意識の向こうに
なんだかとても幸せな未来を
見たような気がした。
作品名:まい子は、お母さん子 「ねむり」 作家名:ワタリドリ