『 コドモドモ 4 』
「そろそろ暑い季節になるわね」
「僕のねぇ、着ている服がねぇ、変わるだけだからね」
「その服、きつくないか?」
「そういえば、学校のギョウチュウ検査、無くなるらしいわよ」
「えっ、あの青い?」
「セロファン、懐かしいわね」
「今はねぇ、そういうのいないからね」
「必要ないんだな、俺達の時代なんて」
「デジタル世代には虫なんて居ないのよ」
「僕はねぇ、カブトムシが好きだからねぇ」
「虫の王様だからだろ」
「角がある虫だから」
「そういえば、動物園行く?」
「昆虫館もあるぞ」
「カブト館ある?」
「あるぞぅ、きっとあるぞ」
「やっぱり、時代にもっと迎合するべきかしら」
「迎合って?」
「なんとなく、実態あるものに触れてはいけない的な」
「僕が書いた観察日記がねぇ、いつも好評だからね」
「夏かぁ」
「夏休みいいわね」
「お父さん、お休みいつ?」
「うーん、そうだな」
「僕の休みはねぇ」
お母さんの休みなんて、旅行の時くらいなんだから。
コドモドモのせいで、お父さんに全部持って行かれてるだけで。
でもね、私にも考えがあるんだから。
「僕のカブトムシがねぇ、優勝したらね」
「うんうん」
「優勝日記が書けるからね」
「うーん」
「それとねぇ、お母さんにあげるからね」
「何をくれるの?!」
「虫」
「あ、ほんと・・・」
優勝しないでもらいたいの。
でも、優勝して欲しいのよ、出来れば本体で。
作品名:『 コドモドモ 4 』 作家名:みゅーずりん仮名