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消していいものと悪いモノ~夢,2~

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「「やぁ、ようこそ。」」
「「と、言ってもだね、ここは僕の場所ではないんだけどね。」」
仮面の男は笑って話す。

「「君は望んでやって来た。果たすべくものがあるから。」」

「「突然ですが、ここで質問です。
貴方に嫌いな人を消す力が宿りました。誰を消しますか?」」
「「誰も貴方が相手を消したことを知らないし、相手の存在さえ無かった事になります。貴方は誰を消しますか?」」

少女は言う。
これまで自分を不幸にしてきた奴等を消してほしい。
虐め、苦しめ、残酷で卑怯な、自分を不幸にする人間達を、と。

仮面の男は問う。
「「…それが君の答えだね?」」
そして少女は頷く。

これが自分の考え。
これで自分は幸せになれると考えて。

理想を描いた少女の心。
「「分かったよ。
では、目を瞑ってその人達を思い浮かべて。」」
少女は思い出す。
あの人間達が、自分を惨めにさせていく瞬間を、行動を。
「「じゃあ、3つ、心の中で数えて。そしたら目を開けるんだ。」」
少女は言われたとおりにする。
憎しみと惨めな暗闇に心が覆われる。

そして目を開いた。
「「これでその人達は居なくなった。後ろのドアからお帰り。きっとその人達がいない人生を送れることだろう。」」
信じ難い話だ。3つ数えて人が居なくなるなんて。
けれども少女はどこかスッキリした感覚があった。
少女は仮面の男に礼を言う。

ありがとう。自分は幸せになってみせるよ。

少女は振り返り、突然現れたそのドアを恐ることなく、ドアノブに手を掛け開いた。



目を開くとそこはいつもと変わらない部屋。
勉強机、タンス、制服、ベッド。
少女はなんだ夢かと少し落胆し、しかしどこか納得したように制服に身を包んだ。