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アイツ

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アイツ

【登場人物】
杉田…男でも女でも。台本上では男っぽい台詞回しにしてます。
小林…男が望ましい
斎藤…女が望ましい
田中…女が望ましい
石井…男女どちらでも


舞台は部室のような小さな部屋




  杉田が部屋に入ってくる。

杉田「おつかれさんー…って、誰もいないか」

  杉田、椅子に座る。携帯をいじったりする

杉田「暇だなー」

  ドアの開く音、しばらくして小林と斎藤が一緒に入ってくる

小林「おつかれー」
斎藤「おつかれさまー」
杉田「よー、おつかれー」
小林「つか、今日寒すぎ」
杉田「それな」
斎藤「ほんとにね、もうそろそろ暖かくなってもいいでしょ」
小林「カイロとか持ってなかったっけな…」
杉田「あ、おれ持ってるかも…(ポケットに手を突っ込む)あ、持ってなかった」
斎藤「私持ってるよ(バッグから取り出す)はい(小林に渡す)」
小林「お、さんきゅー」

  三人ともそれぞれ椅子に座って携帯をいじる。不意に斎藤が話し出す

斎藤「アイツこないねー」
杉田「アイツ?」
小林「あ、確かに…いつも、この時間にはいるよな」
斎藤「んー…用事とかでこれないのかな?」
小林「ま、そんなところでしょ」

  三人、また携帯をいじる。ドアの開く音

斎藤「あ、やっときたか」

  田中が出てくる

田中「おつかれー」
斎藤「ってなんだ、田中かー」
杉田「おつかれー」
田中「なんだってなによ!」
小林「まあまあ。てかさ、今日寒くね??」
田中「ちょー寒い!…あれ、アイツは?」
杉田「まだ来てないらしい、よくわかんないけど」
斎藤「そのうち来ると思うんだけどねー、なんかまだ来てない」
田中「あ、そう。てかさ、みんなこのあと暇?」
杉田「俺は暇かな」
小林「あーごめん、バイト」
斎藤「うちもバイトー」
田中「そっかー、残念」
杉田「なんかあったっけ?」

  ドアの音、石井が息を切らして駆け込んでくる。

石井「ハア…ハアッ…!」
田中「ど、どうしたよ石井」
斎藤「なに、この寒いのにマラソンでもしてきたの?」
小林「おつか…」
石井「落ち着いて聞いてくれ…」
小林「…なに」
石井「アイツが…ついさっき車にひかれて、死んだ」
斎藤「は…?」
小林「おい冗談ならそこらへんに」
石井「冗談でこんなこと言うかよ!」
杉田「ちょ、ちょっと待ってくれ、アイツって誰だ?」
田中「…嘘でしょ」
石井「嘘じゃないんだよ!」
杉田「おいちょっと待てよ!お前ら、アイツって…」
石井「みんなでアイツが搬送された病院に行こう…」
田中「……うん」
斎藤「(無言でバッグをもつ)」
小林「…行こう」
杉田「は!?おいちょっと待てよ!誰だよアイツって!!」

  杉田以外部屋を出て、ドアが閉まる。

杉田「は……」

  呆然としている。

杉田「………」
杉田「……そうか」

  杉田、心臓に手を当てる

杉田「アイツって…」

  杉田、泣く





作品名:アイツ 作家名:湾岸維新