サーキュレイト〜二人の空気の中で〜第十三話
「い、いやさすがにここまで過激じゃなかったけどさ」
むしろゆっくりすぎて、逆に怖いくらいだ。
何でいつの間にやら逆走してるんだろうって。
加えて、ゆっくりなぶん非常に待たされたりもするし。
「ま、帰りもここに来よう」
「避けて帰るに決まってるでしょ!」
そんな風に賛否両論なジェットコースターであったが。
そこを抜けると、目的地はもう目と鼻の先だった。
「あ、ここだよ、ほら」
オレははっとなり、まどかちゃんが指し示す方向を見ると。
確かに白塗りの壁で覆われ袋小路になっている一角に、かなり気合いの入った装飾の木箱があった。
「意外と、何でもない所にあるんだな」
思わず口について出たように、オレが思ったことはそれだった。
もっとも、まどかちゃんの後ろについてきたからこそ、簡単に見つかったのかもしれないが。
「どれどれ?」
快君が、顔に似合わないもみ手をしながら木箱に近付く。
罠とかがあったらどうするんだというドラマティックな展開もなく、
快君が木箱を開けて取り出したのは、まどかちゃんの持っていた巻物と似た材質……羊紙皮でできている地図だった。
さっそく広げてみると、それは入り口で見た巨大マップと同じようなつくりをしていた。
「ふむ、この×印の所が黒陽石のある広場じゃないかしら」
そして、中司さんが先ほど従業員の老人に聞いたアドバイスをもとに目的地を割り出す。
あっさりと目的地を示して見せるが、その頭の中では、オレには理解しがたい理論が展開してるんだろなって勝手に思ってしまう。
「『プリヴェーニア』がここで、さっきのおおきな花壇のある広場がここだから……あら、もうすぐそこじゃない? この『雨の魔物の館』って、お化け屋敷か何かかしら。ここを抜ければすぐよ」
×印は地図の上側、北の方角にあった。
そこはたしか入り口の地図で、『フォーテイン』と言った名前の広場だったはずだ。
その間に通せんぼするみたいに、由魅さんの言うアトラクションがある。
確かに、今まで歩いてきた感覚で判断しても、それほど遠くはなさそうだった。
「よし、じゃあ、今すぐレッツゴーだね!」
快君が、気合いの入った声をあげる。
それに応! と答えて。
オレたちは地図を手に入れたことで前進していると実感し、意気揚々と歩を進めるのだった……。
(第14話につづく)
作品名:サーキュレイト〜二人の空気の中で〜第十三話 作家名:御幣川幣