まい子はお母さん子 「ざんげの時間」 ②
「また今日もやっちゃんだね?」
「やっちゃったらしいね!」
ロランはクスッと口に手を当てて笑い、そのまま他のみんなもまい子も
さらにはげしくステップをふみだした。
タンバリン、ハーモニカにオルゴール
夢のお部屋のカーニバルだ。
シャリン シャリン シャリン
まい子が一段と盛り上げて、みんなをリズムにさそい込む
まい子のとくいわざだ。
とっても、陽気な気分なのに涙がポロポロこぼれてくる。
ロランの目にも 北風さんの目にも そら、君の目にも
きれいな きれいな 涙の虹が!
やがてみんながお酒にでも酔ったように盛り上がり、こころにあかりが灯る頃
柱時計がボーン ボーン ボーン
3時を知らせるチャイムがなった。
瞬間まい子のステップがピタリ止まり、みんなもリズムをピタリと止める
「あ~あ終わっちゃった。」
北風さんがとても残念そうに、でも、どことなく満足そうに言いました
「ああいい気持ち。すっかりこころが洗われたようだ。」
「ざんげの時間は、おいまいだね。」
ロランうさぎも満足そう。
「まい子はざんげの天才だ。」
ああねむい ロランが大きなあくびをひとつ。
ほかのみんなも自分たちのねどこ(おもちや箱)に戻っていきます。
「僕もまた通りかかったら寄らせてもらうよ。」
北風さんは、ニッコリ笑うと窓のすきまからヒューッと音をたてて
空の向こうへ消えて行きました。
いつの間にか空全体には鮮やかな七色の虹橋が!
まい子がぽつんとひとり静まり返る夢のへやに、キュッ キュッ キュッ
だれかが階段をのぼってくる音が、キュッ キュッ キュッ そして、
やさしいリズムをきざんだその足音が、まい子のへやの前でピタリとやみ
ゆっくりとそのとびらは開かれた。
まぶしいひかりがお部屋いっぱいに包みます。
まい子の表情に満面な笑顔が!
「もう、いたずらしちゃだめよ。」
3時のおやつを持ってきたお母さんが、つられてにっこりとほほえんだ。
「だあ だあ~。」
ごきげんなまい子の頬にはいくせんの洗い流された涙のあとが、キラキラ キラキラ
輝いていた。
作品名:まい子はお母さん子 「ざんげの時間」 ② 作家名:ワタリドリ