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22世紀アート
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ある読者のオールタイム小説ベスト3

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ある日、私は自身のオールタイム小説ベスト3を無性に考えたくなった。
一日中考えに考え抜いて、ようやくベスト3を捻りだした。
驚きだったのは、これを考えることによって私の中の何かがすっきりしたのだ。
今まで読んできた様々な小説に想いを馳せる時間は、私にとって人生を振り返る有意義な時間だったことに気づいたのだ。
読書とはその人となりを形成する行為であり、つまり本とはその人の人生である。

私は、22世紀アートという自身の会社で『ブックマップ - 読者のオールタイムベストで探せる本のサイト』を思いつき、立ち上げた。
早速、皆さんからオールタイムベスト3を募集してみることにした。

すると嬉しいことに、全く知らない方のオールタイムベスト3=人生が送られてきた。
人生を提供頂いた重さ半分、嬉しさ半分でブックマップについてをコラムにしてみた。


 1位 「カンガルー・ノート」 安部公房 著
 2位 「残像に口紅を」 筒井康隆 著
 3位 「人間失格」 太宰治 著

 「カンガルー・ノート」。言わずと知れた日本を代表する作家・安部公房の晩年の作品にして異色作。膝にかいわれ大根が生えてくる奇病にかかった男が、強制的に自走式ベッドに括り付けられ医師に示された療養温泉地を目指すが――という話。安部氏のコミカルな設定の中に介在する不安の種、また連鎖する悪夢の生々しさが、どういうわけかぐいぐいと読むページを進ませる。
 この方の2位「残像に口紅を」。なるほど「カンガルー・ノート」を1位に選ばれただけあって、ユーモラスで極めて実験文学的な作品がランクインしていた。この作品では、物語が進むにつれて日本語の五十音が徐々に消失していく。「あ」がなくなれば、「あなた」も「愛する」もなくなる。言えなくなると同時に、その言葉が指し示す概念も消え去る。自ら表現の自由を制限することで、文学の可能性を追求した力作。
 3位「人間失格」。人間の精神世界の底を抉るような太宰文学の最高傑作。人を欺き自分を欺き孤独を選んだ男の生涯を、手記形式で描いた作品。
 以上、3作品がランクインした。表現の可能性と自由を突き詰め、そして文学の在り方を考えてきた作家の渾身の作揃い。さっそくブックマップにマッピングしようと思う。

 ブックマップでは、多くの方々から投稿されたそれぞれが心に残ったオールタイムベスト3をマッピングし、あなたの好きかもしれない小説が見つかるデータベース型マップ。 読みたい本が分からない時に、そしてあなたが好きな作品を読んだ人は、他にどんな本が好きなのか知りたい時に、是非ご活用ください。

www.bookmap.org

ブックマップ編集部 西野