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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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リップに伝えていたこと。

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『もう、死んでいく時の苦しみはリップちゃんは覚えていないので、あいちゃんはそのことで悩んだり悲しんだりしなくても大丈夫ですよ。聖書にはなんと書いてますか?“拭い去る”とありますね。そういうことなんですね。拭い去るという意味は、このようになった時に知るのですよ。リップちゃんはどうして今ここにいるのかは分かっていませんが、楽しく過ごしているということで分かると思いますよ。そして、あいちゃんも悲しみがなくなったのではないですか?もしなくなっているのであれば、その悲しみは拭い去られたということになりますね。生きていても死んで復活しても私は約束をしたので、拭い去るということですね。』
と言った。

ある日に、私は夜キッチンで洗い物をしていた。
その瞬間は今も覚えている。
草原を本気で走っているリップの姿だった。
どういうことかと目を疑った。
何処まで走るのか分からないけど、首輪もリードもなく、リップの本気の走りの姿だった。
しばらくしたら、リップの顔がアップになって近付いた。
走り過ぎた時の激しいハァ~ハァ~をしながら嬉しそうに私を見ている。
空間がテレビモニターのようになっているようで、そこから私を覗いていた。
リップが私だと気付いたようで、顔がもっと近付いた。
口のアップになったので、私はついつい、
『よだれ、よだれ~。』
と近付くリップから離れた。
リップは私が困るとわざと続ける性格なので、よだれをもっと近づけてきた。
なので、私は怒った顔をした。
そしたらリップが、下がってすみませんと片手を上げた。
私は無言で肯いた。
そして上から声が聞こえた。
『こんな感じで楽しくしてるんですよ。』
と聞こえた。
その時に、体の中から涙が出そうになったけど、出なかった。
その時から私は悲しみがなくなった。
それがリップが死んで九ヶ月ぶりの再会?!だった。

私はその出来事を思い出した。
拭い去るとはこういうことなのかと知った。

神様がいるかは別として、私の悲しみを拭い去り、リップに悲しませないようにと配慮をしながらお世話をしてくれていると知ると感謝感謝と言っても言い足りないのが今の思いだ。
少なからず私はリップがいなくなった絶望感はもうないのだ。