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いつか叶うから 1話! 近いのに違う…

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3人で話をしていた。 
恵「もうすぐテストだねー。」
那「そうだな。恵は勉強は?」
恵「そんなにしてないよー」
誠「なんでおれにきかないの?ねぇ? なんで?」
恵「聞かなくてもわかるからじゃない?」
那「そうだな、察しているよ。」
誠「マジで?ヤッベェー エスパー? 超能力?」
那「そうだな。エスパーだ。 ただし、いとうではない。」
誠「いとう? 誰それ? まぁいいべさ。」
恵「たまにでるよねー ハマッチの変な方言。」
誠「変なとは失礼な! 立派な個性だぁー!」
那「そうだ。このくらいしか個性の無いんだ。」
恵「あ、ご、ごめん これから気を付けるよ…」
誠「やめろやめろー、おれが可愛そうなやつみたいじゃないかー。」
那「今頃気づいたか」
恵「遅かったわね」
誠「しどーーーーーーい」
ここでチャイムがなる。9年間聞いてるはずなのにいつも飽きない。チャイムってすごいね。
恵「次の時間なんだっけ?」
那「英語じゃなかったけか。また誠のイビキが聞けるぞ。」
誠「イビキのことはもういいでしょー。 忘れてよー。」
那「じゃあな、イビキ」
恵「寝ないようにね、イビキ。」
誠「俺の名前はイビキじゃなーーーい! 」
イビキの痛快な叫びが教室中をこだました。みんな無視した。


学校からの帰り道にて
誠「さぁさぁ、テストといえば?那珂っちー?」
那「解放感?」
誠「ブッブーー ちがーう、次、メグ、はいっ?」
恵「その呼び方やめてくんない?この間スルーしちゃったけど、他のにして。」
誠「オーウ! 完全スルーだ、ハハッ」
那「英語の時間寝てんだろ、英語っぽくすんなよ、出来てねぇし。」
誠「答えは勉強会だぁーーー! 」
那「ああ、あれな、いつの間にかゲーム大会になるやつな。」
恵「なにそれ、私行かないよ。一人で勉強するー。」
誠「そんな寂しい事いうなよー」
那「俺も行かんぞ。」
恵「第一に場所は? やるメリットは?」
誠「やる場所くらいは提供しようじゃーないかー」
那「どこもないだろ?」
誠「いいや、ある! 俺の部屋だぁーーー!」
那「俺はいいけど、恵は?」
恵「えー まだいやだなー。」
誠「じゃいいいよっ! ジュースもだすよ! ジュース!」
恵「それなら、いいかな。」
誠「やったーー!」
那「それでいいのか、おまえ…」

今日が金曜日だったので明日、という話になった。
二人に別れを告げて、家の前に立つ。ドアを開けずらくて、一人で立ちすくんでいた。
「なにしてんのよ、さっさと入りなさいよ、邪魔くさい。」
いつの間にか母親が帰ってきてたようだ。
言われたとうりにドアを開けて入る。
なぜか、ただいま、という言葉がでなかった。


次の日の朝、なんとなく早起きをして朝ごはんを食べていた。
朝はご飯がいいよね。朝ご飯って言ってるし。無言の圧力だよ。これは。
ヤベェ、今日朝ごはん、パンだったわーって言うのおかしくない?
このおかしさを教室で熱弁したいっ!
なんて事を考えていると、誠の家の前に着いていた。
ピンポーン 正解のSEみたいな音がなる。 少し間があいて、誠の母親と思われる人物がドアを開ける。
その人物は、一目見て悟ったのか誠の部屋へとつれてっていってくれた。
誠「おお、来たかー 遅かったなー。」
俺が入るとすぐ誠が言葉を放つ。
恵「遅いよー! もうちょい早く来て!」
那「ゴメンゴメン、次は早く来るよ。」
この会話の後に全て見ていたかのごとく、誠の母親がジュースをもって入ってくる。
誠「お、ジュース持ってきたかー。」
誠母「はい、持ってきたよ。あんたを見てるとねー、心配になってくるよ。二人とも宜しくね。
誠「なんだよ! しっかりしてるよ!」
誠母「してないよ! 余計な事ばっかり!」
誠「良いじゃん! 迷惑くらい。」
誠母「そうねぇ。あんたを見てると心配だけど、楽しいもの。」
交わされる温かい会話。母親とはこういうものなのか。いいや、きっと違う。
いつもより回る頭、止まらない心臓。これが普通なのか? 
これが普通で、俺が異常?
回りすぎて、負の感情が沸き上がる。頭の空回り。それでも止まらない。
体が動き出す。どこへいく? それは体が知っている。頭は知らない。
体と頭が別々になったかのようだ。走る。走る。走る。
止まらない、止まれ、止まれ。
止まらない体、止まった頭、
家に着いた。ドアを乱暴に開ける。中へ入っていく。

なにしてんだ、俺。


ハマッチのお母さんとハマッチの会話を聞いてたら、那珂君が飛び出していった。
すぐに追いかける。走る、転ぶ、起き上がる。
那珂君と私に差が出来ていた。それは私が遅いからではなく、転んだときのロスタイム。
疲れた。しんどい。でも走る。なんか、ここで走らなかったら、那珂君と友達でいられなくなりそうで。
那珂君が心配で。 この心の奥から沸き上がる感情はなんだろう? 友達として? 心配?
それだけじゃないはず。だけどもわからない。一つ分かるのは今は走ってればいいと言うこと。
いつか、答えがでるはずだから。
那珂君が乱暴に家の中に入っていった。けれども、それは無理やり自分の中に閉じこもるようで、
入ってくるなと言ってるようで。でも入るよ。それしかできないもの。
家の中に入る。チャイムは不要だよね。家への入り方で、尋常ではないことが分かるはず。
那珂君のお母さんがいたら、だけどね。
少し遅れてハマッチも家へと入ってくる。
那珂君の居るところへと走る。二人で。
恵「那珂君!」叫ぶ。
誠「那珂っち!」叫ぶ。
恵「何があったの? どうしたの?」

「うるさいわね! 仕事終わって疲れてるの! 黙って!」
那珂君のお母さんかな、大人の人が立っていた。この状況、分かるよね。
那珂君が壊れそうだ。
「なにやってんのよ! ろくなことしないんだから! 迷惑かけないで!」
「何のためにあんたを産んだとおもってるの!」
那珂君へと投げられる、辛辣な言葉。那珂君は聞いているのか、聞いていないのか虚ろな目をしていた。
今気づく。産んだ? じゃあこの人は…
一言もしゃべらないハマッチ。ねぇ、なんかしゃべってよ。
誠「帰ろう。」
恵「なんで! まだ何も納得してないよ!」
誠「俺は帰るぞ…」
そして本当に帰っていくハマッチ。
仕方なくハマッチを追いかける。また走る。追い付く。
恵「ねぇ! なんで! 何で帰るの!」
誠「わかんねぇのか…」
恵「何もわかんないよ!」
誠「那珂っちは、親と上手くいってない。これ以上は俺からは言えない。」
真面目なハマッチ。そして、黙る。 またやって来る沈黙。
無言の帰り道。動かない頭、動いた私達の距離。
別れ道でハマッチと別れる。 別れの挨拶も無しに。
雨が降ってきた。でも、今は、今だけは傘をさしたくないな。
雨に濡れながら帰る。これでいいのかな。考えたって答えは出ない。
ゆっくりと漆黒に染まる道と、崩れない沈黙が私をどんどん不安にしていった。