『Ciocolata』
「Ciocolata ―San.Valentainoー」
しばしはなれし わが室(むろ)に
なにやら 珍しきものありき
恐れもしらず 目をつむり
むむむ むんずと鷲づかみ
すれば 電気かハンマーか
体はしびれ 血はながれ
熱きヘモグロ ビン!ときて
その珍しき在り様の
かぶせた衣を 脱ぎされば
甘きショコラタ ひーふーみーと 九つの
粒にわかれて おさまって
口へはいらば あら不思議
宇宙が口中(くちゅう)で ビックバン
星がかがやきき 日はのぼり
沈まぬ太陽(たいよ)の コロナのごとく
光とともに 幾光年
舌下美人の 舌にのり
たどり着いたは 恋の里
光りながるる その川の
川にあそぶは 一匹(いぴき)の魚
恋する魚の 里なるは
鯉というなの うろこ肌
柔き素肌の 胸のうち
紅く脈打つ 響きあり
そのこだまを 呑みこめば
われの 心臓(しんぞ)が
鷲づかまれて
わが身 恋、路(ち)に落ちゆかむ
作品名:『Ciocolata』 作家名:佐崎 三郎