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片目の赤いトカゲ

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僕は小学校から帰ってきて自分の机に座ってた。
いや、正確には宿題をしてたんだけど、漢字の宿題が出てて,やる気が全然出てこない。
椅子の背にぴったりと背中をつけて後ろに倒れそうになるほどのびてみた。
でもやっぱりやりたくない。

その時、僕の左側にあるベランダの窓がガタガタといった。
あ、窓は開いていたからガタガタと揺れたのは網戸だ。
一体何事かと、驚きとすこし怖い気持ちで網戸を見ていた。
すると、突然その網戸が2㎝くらい開いて小さな茶色いものが顔を出した。
トカゲだ。トカゲが網戸をあけて入ってきた。

「トカゲかぁ」
僕はおもわず言った。しかしトカゲが網戸を開けられるなんてびっくりだ。
トカゲは僕をじっと見ている。

「こんにちは、今日はありがとう。」
トカゲは突然そういった。

僕はトカゲがしゃべったことに驚いて鉛筆を落としてしまった。
じっとトカゲを見つめる以外できなかった。

「覚えていませんか?片方の目が赤いトカゲです。」
トカゲは左の眼を見せた。
僕は「あ!」と言ってこのトカゲを思い出した。
今日、学校でトカゲを捕まえた。でも片目が赤くなっていたので逃がそうとしたら、
高学年の男子に「逃がすな!」とトカゲを持った手を抑えられた。
でも僕は「片目が赤いから逃がすんだ!」と手を振り払って逃がしてやった。
そんなことがあった。そしてそのトカゲがなぜか僕の二階のベランダから入ってきた。

「あの時はありがとう。あのくらいの子たちは私たちをカゴに閉じ込めて殺してしまうから困っているんですよ。」

トカゲは顔をちいさな手でなでながら言いました。

「ああ、気にしないで。目をケガしていたしね。」

僕はこれが本当の事なのかよくわからないまま答えた。

「ええ、ちょうどあなたに会う前に鳥に狙われたのですよ。でもすぐになおるでしょう。」

トカゲはちょっと後ろを向きました。すると後ろにはハトがいることに気が付きました。
「あ!あぶないよ!ハトが狙ってるよ!」
僕は急いで網戸に近寄ってハトを追い払おうとした。
するとトカゲはひょろひょろと後ろにいるハトの足の上に乗りました。
「大丈夫です。大丈夫です。こちらは一緒に戦争を戦いぬいた戦友です。」
ハトは頭をさげて
「はじめまして。」
といいました。僕のベランダではハトもトカゲもしゃべれるようになるんだろうか。
「あ、はじめまして。それにしてもハトとトカゲは友達になれるなんて不思議だ。」
トカゲはまた近くにやってきて右手をあげました。
「私たちも友達になりましょう。」
僕は「あ、うん、友達になろう。」と言ってトカゲの手をみました。
「握手ですよ。握手。」とハトが言うのでトカゲの小さな手の下に指を出しました。
小さな手と僕の指が付いた途端、ぱぁんとまぶしい光が爆発したようにまぶしくなりました。

そして、どん、とイスが後ろに倒れたのです。
何事かと起き上がると窓にはトカゲもハトもいないし、宿題だって終わっていません。

なんだよ、夢を見ていたのか!
僕はがっかりして、椅子を戻して宿題にも戻りました。
そして、あぁ〜と言いながらトカゲとハトを思い出しました。
可愛かったなぁトカゲ。ぼくはトカゲが大好きだ。
あの手の感触があまりにリアルで本当に夢なのだろうかともう一度窓を見た。
すると、網戸が2センチくらい開いていることに気づいた。
僕は「ああああ!!やっぱり来たんだ!」とつい大きな声で言ってしまった。

たぶん、トカゲと友達になれた小学生なんか俺くらいだ!
そう思うと宿題もどんどんできた。また会いたい。


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この作品は
息子が学校で片目の赤いトカゲを捕まえてしまい、かわいそうだから逃がそうとしたら
高学年の子に逃がすな!と取られそうになり
目が赤いから逃がす!と怒って逃がした話を聞いて思いついたお話。