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佐崎 三郎
佐崎 三郎
novelistID. 27916
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「ぷろぽーず」

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偽六年生 記念文集作品 「ぷろぽーず」


六年二組  へんりー・じぇいむす(仮名)

ぼくはまだ、みじゅくなカジツだけど、小学校をでて、中学校をでて、できれば大学へあがって、大人になったら、となりのクラスのなっちゃんとけっこんしたいです。大人は、たいがい、好きなひとをみつけてけっこんをするので、ぼくもまねをして、大好きななっちゃんとけっこんしたいです。それは、「ゆめとかきぼう」とかっていうのかもしれないけど、そういうものをもっていると、まだどうなるかわからないみらいにむかうエネルギーになるとおもいます。でもなっちゃんとは、あまり話をしたことがありません。なんかいかはあるけれど、はずかしいので、かおを赤くして下をむいてしまいます。でも、ぼくの目はしっかりとなっちゃんを見つめています。このことばなんか大人っぽいと思います。まだ子供なので、こころっていうか、頭のなかっていうのか、そういう気もちをことばにすることができません。先生にも、てれてしまってきけません。でも、こういうものがちゃんとあるっていうことが、わかる年れいになったのかも知れません。ぼくのおとうちゃんとおかあちゃんをみていると、けっこんがいいともあまりおもわないけれど、というか、いっしょにいるのがふしぎなきもするけど、きっとぼくの知らないふたりだけの世界があって、それがふたりにとってしあわせというものなのかと思っています。いつか、なっちゃんと世界をつくってみたいとおもいます。一ど、手紙をかこうとして、新聞にはさまっている近所のスーパーマッケットチラシのうらに、ぼくの気もちをかいて、あとでかきなおして、便せんにかいて、なっちゃんにそっと送ろうとしたけれど、なぜかとちゅうで涙がでてきてこまりました。どうしてでてきたのかわかりません。これもふしぎの一つです。大人になればわかるのかもしれないけど。成長するとは答えをみつけていくことなのかな。文字の数が多すぎて、先生に注意されるとおもうけれど、まずはこのまま提出します。まだけっこんしていない先生なら分かってくれるかな?でも、これは、なっちゃんにはないしょです。そんな文集です。おぼえたてだけど、「ひみつけっしゃ」のようなものです。そこには、ほんとうのこと、がかいてあります。だから、ひみつなんです。それをたいせつにする。そんな文集です。ぼくのは、へたくそな作文でごめんなさい。(おわり)
作品名:「ぷろぽーず」 作家名:佐崎 三郎