男と女
さりげなく。
本当に、さりげなく。
あなたが私の肩をそっと抱いた。
あなたは知っている。
私が口にした飲み物には、殆どアルコールが入っていないこと。
もうちょっと甘えてみようかな。
体をずらし、彼の膝に顔を上にして頭を乗せる。
あなたは私の髪を梳くようにゆっくりと私の頭をなでる。
優しく私を見つめる目。
両手をゆっくり延ばして、あなたの首にそっと回す。
あなたは私の首の後ろに腕を回す。
少し抱きかかえて、口付けを落としてくれた。
ゆっくりとゆっくりと。
私の唇と舌を味わうような口付け。
年下なのに、今は立場が逆転した感じ。
年下なのに、大きく包みこまれる感じ。
やっぱり男って、すごい生き物なんだと、改めて感じさせられた瞬間。
唇が離れる。
「もっと…甘えて来いよ」
あなたが囁いた。
私が年上だから、私がリードしなきゃと、肩に力が入っていた。
「俺だって頼りになるってこと…証明させろよ」
熱いまなざしでそう囁く。
貴方は男で、私は女で…
男はやっぱり女を守りたくなるものなのかな。
「…うん」
今度からは、酔ったフリせずにもっと甘えてみよう。
あなたの男らしいところ、もっと私に見せて。
私をもっと甘えさせて。