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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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一番上が喋った…。

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週に一回ある宗教の勉強の予習復習をいつものようにやっていた。
わからない所はそっとキリストが教えてくれていた。

次の質問に進んでは、聖書の必要な部分を読んで…と繰り返し繰り返ししていた。
キリストが教えてくれているけれど、だんだんとその姿が薄れていっているようにも感じた。
どうしてだろう…と顔を上げて見つめているとキリストの姿は濃くなって、何事もないかのように当たり前に存在する。
私は意味も分からないまままた勉強を続ける。
そして聞こえてくる言葉を聞いては、必要な部分を書き留める。
またその繰り返しをしていた。

また次の文章を読んだ。
そして質問には、“人の行いを見ていて神はどのように思われると思いますか。”とあった。
私は神ではないので分からない…と思っていたら、椅子に座っているおじいさんの姿が鮮明になり、ガックリ頭を落としている姿を見せられた。
初めてその人の違う姿を見た。
私は驚きつつもその姿をノートに答えとして書いた。
もし本人なら答えはあっているんだろうと思う。
書き終えると、
“神様もガックリするんだなぁ~。”
と思ったら、
『そうですよ。私だってガックリすることもありますよ。』
と聞こえた。
その声は明らかにキリストの声じゃなかった。
でも聞いたことがあると思った。
キリストが勉強を教えてくれていたけど、よくよく思い返してみると今聞こえた声もある時から聞こえていたなぁと気付いた。
上(私の見えているおじいさん)がいつからか喋っていたかは分からないけど、どうもその人は喋るようだ。
キリストの声は若く優しく通る声をしている。
上は年寄りっぽい声だけど、優しさの中に確かさや怖さ、強さもあるように感じる。

私は勉強そっちのけで、しゃがみつつ上に心の声でいつものように聞いてみた。
『神様ですか?』
私の質問にその人は初めてニコッと笑ってくれた。
そして、
『はい、神ですよ。』
と応えてくれた。
“様”を付けないのはどうしてだろう…と思っていたら、
『自分に対して“様”は付けませんよ。あいちゃん(仮名;私の名前)は自分に“様”を付けますか?』
と言われた。
聞いてもいないのに何故だと思いつつも、
『確かに、自分に“様”なんて付けないか…。うん、付けない。』
と私が答えると上は肯きながら、
『そういうことですね。』
と優しく言った。
どうしてだろうか、お化けのようなものなのに全然怖くない…。
これも悪者のせいなのだろうか…。
と思っていると、また声が聞こえた。
『私のことは怖くありませんか?私は自分で“私は神ですよ。”と言っていますが、果たしてそれが本当かどうかは分かりませんね。もしかしたらサタンや悪者かもしれませんね。』
と上は言う。
私は思いっ切り首を傾げてその何かを見ていた。
その時はもうしゃがんでもいなかった。
私は神の存在を信じていない。
でもお化けの存在はとても信じている。
なのにその人は全然怖くない。
もっと話したいと思ってすらいる。
こんな風に思わせることも悪者の仕業かも…と思いながらその人を見ている。
そんな私にまた言葉が届く。
『あいちゃんが神の存在を信じていなくてもいんですよ。聖書には、“神を知らなければならなくなる。”と書いてあるだけで、“神を信じなさい。”とは書いていませんよ。信じるか信じないかはその人の自由なのですから。神を信じないからといって私は怒ったりしませんよ。見えもしないものを信じるのは難しいですからね。』
と上は言った。
私は何とも言いようがなく、ただ“はぁ~。”となるだけだった。
ほとんど聖書を読んでいないので、書かれているとかいないとか判断のしようがない。
そんなことを思っていたらまた言葉が届いた。
どうも心まで読まれているようだ。
『はい、確かに私は人の心までも見ることが出来ます。なので人の言う言葉よりも心に思った気持ちを見ています。聖書に書かれているかは分からないのであれば読んでみると良いですよ。…果たしてその聖書は何処までが私の言葉なのでしょうか…。』
と聞こえた。
どうして何処に書かれているとか教えてくれないんだろうと思ったし、最後の言葉の意味もよく分からなかった。
その思いに対しては何も言ってはくれなかった。

こんな感じで上と出会い上との会話が始まったのだった。