肩車
まだ私が小さい頃さ、よく肩車してお散歩に行ったよね。
お父さん、背はそれほど高いほうじゃないけど、子供の私にとってはすごく背が高くて。
そのお父さんよりもさらに高いところが見えることが、すごくうれしかったな。
あんまり高くて、お日様にも手が届くかと思っちゃった。
春は花見。
夏は花火大会。
秋は紅葉狩。
冬は初詣。
そういえば、『ゴジラ対モスラ』の映画を見に行ったときも、お父さん肩車してくれたよね。
映画館内はすごい人ごみで。
だから、私達は一番後ろに立って映画を見たんだよね。
お父さん、私を肩車してくれたから、映画を見ることが出来たんだ。
お父さんは見ること出来なかったかもしれないね。
そのときはぜんぜん気がつかなかったけど。
ごめんね、お父さん。
お父さん、お父さん
寝ちゃった?
もうゆっくり寝ていいよ。
もう私を肩から下ろしていいよ。
今まで本当にありがとう。