今夜 君とラブソング
「略奪結婚」
中学生の時 洋楽に目覚めた
ラジオからは今週のベスト10が流れ
自分が好きな曲がどこまで上がるか楽しみだった
まだビートルズは解散してなくて
いつもランキングの中に入っていた
他に好きなアーチストでS&G
サイモンとガーファンクルがいた
明日にかける橋
ボクサー
ミセスロビンソン
コンドルは飛んで行く
綺麗なハーモニーで歌う二人の曲は
今 聞いてもきれいだ
ミセスロビンソンは卒業という映画の主題歌だったけど
その映画は ずっと後から知った
高校2年生のときだった
その映画は 田舎の僕の町の映画館にやってきた
随分 遅れた公開だったけど
女性の足の向こうで たたずむダスティンホフマンの
卒業の映画のポスターが 僕の好奇心を刺激し
授業を抜け出して行った
なにしろ
あの頃の田舎の映画館は3本立てが普通だったから
全部見ようと思うと 午後2時には行かなければならなかった
卒業はみなさん ご存知だろうけど
大学卒業のベンジャミンが幼馴染の母親と情事を交わし
その後 幼馴染と恋に落ち駆け落ち
結婚式場から花嫁の彼女を略奪という
むちゃくちゃな行動が受けた
既存の習慣を嫌う時代性もあったのだろうけど
娘の親となった今
親子どんぶりしといて 娘を強奪なんて とんでもない映画だ^^;
でも その時 映画のむちゃくちゃとは別に
綺麗なハーモニーのSGの歌が印象に残った
まだ若かったし 英語も知らず 雰囲気だけで好きになってた
それからレコードを買い 音楽雑誌からギターコードを学び
学校の部室で弾いて 歌っていた
みんなが日本のフォークをやるなか
一人かっこつけて歌っていた
大学生になりエッチをする彼女が出来たとき
「もし私が結婚したら どうする?ダスティンホフマンのように
奪いに来て・・・」と彼女が言っていた
僕は「いいよ」と笑っていたが
3年後 彼女は僕と別れた後 すぐにお見合いで結婚した
結婚式当日 僕は奪いに行けなかった
学生だったし 結婚というのに実感が湧かなかった
別れたけど心のどこかでまだ好きだった。。。なのに
奪いに行く勇気はなかった
2年後ぐらいに
たまたま彼女の実家の目の前を車で通ることがあった
彼女の部屋のベランダに おしめが干してあった
なんだか心が痛かった
もう僕の彼女ではないんだと はっきり自覚した
車の中のお気に入りのカセットテープを取り出し
なんとなく なんとなくだけど
ミセスロビンソンを流し始めた
結婚式場から花嫁を略奪・・・・
そんなことできるはずないじゃないか。。。。。
若かったあの頃 お互い夕闇の中でキスをしながら
笑って約束した「いいよ 奪いに行くから」の言葉が
なつかしくて 子供だった自分がせつない
でも もう一度 そんな恋もしてみたいと思う
略奪結婚は今でも出来ないと思うけど
他の男にみすみす渡す 勇気のない恋はしたくない
いや
歳をとったからミセス・ロビンソンでもいいかな^^
ベッドに腰掛けて ゆっくりストッキングを下ろすのを見る
そして僕は立ちつくし眺める それから大人の世界の始まりだ
久しぶりにyoutubeでSGを聞いてみた
あいかわらず青春が蘇る
秋に入ろうとする 雨の夜 パソコンから流れる音楽に
耳を傾け 昔を懐かしむ
僕の今のミセス・ロビンソンはあなたですか。。?
Mrs.Robinson/Simon & Garfunkel
https://www.youtube.com/watch?v=9C1BCAgu2I8
略奪名シーン
Sound of Silence / Scarborough Fair
https://www.youtube.com/watch?v=3JTH5VPAT4Y
作品名:今夜 君とラブソング 作家名:海野ごはん