世紀末の生き方 「感染症」
「感染症」
世紀末、とりわけ核戦争後の未来にとって病気は大敵だ。
一度風邪を惹いたならば、そのものはコミュニティに隔離される。
そして食料も与えず、大抵は直らずじわじわ衰弱し死に至る。
俺は死体回収業者だ。
ほんの慰めの言葉をかけ、その死体を譲ってくれないかというのだ。
無論、嫌がるものもいる。だが放置しておくとどんな疫病が流行るかわからない。
だから俺らがいる。そうして予算ぎりぎりの格安で承る。そのときに
タバコを一箱、渡すのが大事だ。リピーターになってくれる可能性が大だ。
そうしてみんなが嫌がるそれを回収したら、野菜に肥料として撒くのだ。
野菜は窒素がたっぷり入った養分を吸いながらすくすく育つ。実り、熟し
、根付き、そして出荷される。
その野菜がついには買い取られる。その家族にもな。
そのとき脳裏によぎるのだ。
身も心の一緒になって、家族と再開できたなと…
これぞ循環型社会の極みか。
作品名:世紀末の生き方 「感染症」 作家名:もひかん