Twinkle Tremble Tinseltown 11
こうなればもう、しがないバーテンダー如きに出る幕はない。肩を竦め、マーフィは並べてあったショットグラスを手に取った。光に向かって掲げ、分かりきっている指紋を確認する。
安物特有の分厚いガラスはきらきらと輝き、その向こうではもう、誰からも興味を失われた男と女。最後にもう一度ため息をこぼしてから、脂っぽい螺旋を布で広げて薄めた。
二人が連れだってその場を後にするまでに、大した時間は必要とされなかった。
作品名:Twinkle Tremble Tinseltown 11 作家名:セールス・マン