タヌキのキンタ......マ事件
あああ、もうウン年も前になるのね。でも、その時の事は今でもはっきり覚えています。
シンガポールの友人の優秀な弟ウイリアムが日本の金融会社に長期転勤することになり、「弟をよろしく」と言われました。
ある日の事。ウイリアムの日本の会社の同僚田中さんとウイリアムと私との3人で食事をする事になりました。待ち合わせ場所で田中さんが私にウイリアムを紹介してくれた時の事。なんとウイリアムがこう言ったのです。
「たぬきのキンタマ」
それも、上品に微笑みながら、礼儀正しく握手の手を私に差しのべながら。
一瞬私は固まりましたが、こらえ切れずに大爆笑。 すぐに彼が田中さんにからかわれたのだな、とわかり、「たぬきのキンタマは、ラクーンの testicles (睾丸) の事ですよ」って教えてあげました。
ウイリアムは恐縮しまくり、顔を真っ赤にして私に無礼を詫びてくれました。 ウイリアムによると「たぬきのキンタマ」は最高に丁寧な日本語の挨拶の言葉で、特に女性に対して使うものだ、と田中さんに教わったそうです。
なので、あちこちで言いまくったとのこと。
その後私たちは、お洒落な六本木のレストランで食事。田中さんが注文したのはビーフの何とかっていう料理。運ばれて来た料理を見て3人で大爆笑。だってだって、お皿の上には巨大なミートボールが2つ。 タイムリー過ぎ~。 下品な私たちは大爆笑しました~。
外国に転勤予定のみなさん、外国人同僚から言葉を教わる際は慎重に!
作品名:タヌキのキンタ......マ事件 作家名:真世美