『 バッタもんですみません、という気持ちになった話 』
恐ろしいことが、あったのです。
その日、私は自転車に乗って、すぃすぃと車道を走っておりました。
すると、ぽたっと音がして、私の右側に何か落ちたのでした。
葉か何かが落ちたのだろうと思い、何気なく見下ろすと、それは脚のもげたバッタでした。
風に乗って来たにしては風のない日で、私は気味が悪くなりました。
忘れた頃に、素晴らしいことが、あったのです。
自宅の壁に、バッタが貼り付いていたのです。
立派な脚を持った、大きな緑色をした、つやのあるトノサマバッタでした。
私は咄嗟にあのバッタを思い出し、それを外へ放ちました。
バッタはどうなったかは知りませんが、私はあのバッタであったと思うことにしました。
突然起こったことは突然終わり、脅迫なども無かったことになるでしょう。
ちなみに私はプロの作家ではありませんし、セカンドネーム活動を行っている訳ではありません。
バッタもんで、すみません。
もしも、私の文章を読んで不快痛快になった方がおられましたら、香騎連絡先までお願い致します。
080-2014-1219
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俺は、たいぺんな気持ちになった。胸騒ぎとは、こういうことを言うんだ。
すぐに連絡先へ連絡を入れたが、現在は使われていない番号だそうだ。
たいぺんな目に遭っている人が、生きているのなら、俺も安心だ。
作品名:『 バッタもんですみません、という気持ちになった話 』 作家名:みゅーずりん仮名