優しくないおじさん
おじさんは近くでこどもが遊んでいると「あっちいけ!」と大きな声で怒鳴るので、
子どもたちはとてもおじさんがきらいでした。
ある日のことです。
おんなのこがとても綺麗な赤い花と紫の花をみつけました。
おんなのこは「もって帰って病気のおかあさんにみせたらよろこぶかしら」とおもってお花を摘もうとすると、
おじさんがやってきて「勝手に花をつむんじゃない」と怒鳴りました。
おんなのこはとても怖くて、泣いて帰りました。
またある日のことです。
おとこのこが釣りをしていると、おじさんがやって来て「勝手に釣りをするな」と怒鳴りました。
おとこのこは驚いて釣った魚を忘れて逃げ帰ってしまいました。
おじさんの暴虐なふるまいはとても子どもたちに恐れられ、
「赤と紫の花はとっちゃいけない」「あそこの沼で釣りをしてはいけない」と、
子どもたちの間でささやかれました。
やがて子どもたちが大きくなり、かつてのおんなのことおとこのこがおじさんに会いにいきました。
「おじさん、とってもありがとう」おとこのこは白い花を持ってきました。
「おじさんって本当はとってもいいひとだったのね」おんなのこはそう言って笑うと、
ふたりでお花をおいてお墓から帰りましたとさ
【おしまい】