『 魚怪rui 』
急いで退治しないと、人間が危ない。
一斉にサイレンが鳴り響き、怪獣は倒された。
国中の車が、一斉に怪獣をやっつけるために
出動したからだ。
それから、何千年が過ぎても、街に怪獣は現れない。
怪獣は、眠りたいときに眠り、食べたいときに食べ、
車にも武器にも狙われず、しょっぱい海の中で生きることにしたからだ。
餌に釣られないようにだけ、気をつければ長生きできる。
もう怪獣ではなかったが、時々はあの日のように火を噴きたいのだ。
私は、魚屋さんに並ぶ、海老や烏賊やタコを見て涙した。
戦う者だけが、勝つんだ。
それをパスタにして、フォークで絡め取り、巻き込まれた魚介類を食べる。
そう思うと、今夜のディナーも絶品だった。