『 コドモドモ1 』
「・・・どうしてこぼしたの」
「あーあ、あーあ」
「いまふいてあげるから、まちなさい」
「あーあ」
「あー、しみがおちないわ」
「・・・」
「あ!だめよ、どうしてそんなことするの」
スマイルは確かにゼロ円なんだけど、こんなことで一日が終わるの。
「これを、こうしなさい。そして、あぁしなさい」
「うん」
「うん、じゃなくて、はい、といいなさい」
「はぁい」
「ぁ、はいらないのよ、のばしてはだめ」
「はい」
やっと静かに遊んでるわ。子供は本当に躾けなくては駄目。
「じゃあ、ごほんをよんであげるわね」
「うん。でも、あの本はもういい」
「どの本だと、好きなのかな?」
「車と電車」
「そうねぇ、働く自動車君にしましょ」
「ブーン、ブンブン。あれ、僕好き」
「・・・どこかにいっちゃったわ」
「あそこにあったよ」
「どこ」
「あの棚のところ」
「そろそろ、お食事の時間よ!」
大分、育ってきたわ。本当に躾は大事だわ。
「でもさぁ、幼稚園は子供っぽくて駄目なんだ」
「そうなの?誰かが言ってたの?」
「そうじゃないけど・・みんな言ってる」
「もうじき小学校が始まるわよ。遅れないために、ちゃんと先生の言うことを聞くのよ」
「だけど、学校行ったらまたやり直しだって」
「そうなの?誰かが言ってたの?」
「うん。先生が、先生と話してた」
お金を掛けるだけ、子供がコドモドモになっていく。
だけど・・・私は思い出したの。
幼稚なことをクリアするだけが人生だった、学生時代を。
それだけで、貴方は価値があるのよ。
だた、それだけで。
作品名:『 コドモドモ1 』 作家名:みゅーずりん仮名