さよならの前に
1通め
突然のお手紙、お許し下さい。
あなた方はわけがわからないでしょうね。私のことを知りもしないんですから。
私はとある女子高校に通っていました。
少し堅苦しい以外はなんのへんてつもない私立の高校です。
私はそこが憎くて憎くてたまらないのです。
嫌で嫌でたまらないのです。
私は人生に心底失望しました。こんな馬鹿らしくくだらない人生に吐気がしました。
あなた方の会社は高校卒の人材を主に雇って下さる数少ない会社だそうですね。
この春あなた方の会社を受ける仮須川エリナさんは、私を殺した人です。
なぜなら私は今から人生に封切りをつけるつもりだからです。
こんなことを聞かされて、とても気分が悪いでしょうね。
本当にごめんなさい。
でも、と言ってはなんですが、他にもあと10社ほどにも同様の手紙を送ってありますので安心して下さい。
それから、マスコミ宛てにもいくつか送っておきました。
できるだけ長い間、彼女が苦しむように。
いついかなる時にも、世界のどこかで自分を憎んでいる人間がいることを忘れないように。
私は心から願っています。