小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

なかなか結婚を許してもらえない…。~浮気は出来ない~

INDEX|1ページ/1ページ|

 
はとちゃんに結婚を許してもらえないまま月日はのんびり過ぎていく。

はとちゃんからは、しつこく、“男はみんな浮気をするの。あなたも親の子だから出来る!!”と釘まで刺されていた。
その言葉を私は忘れることもなく、そんなことを言われたのも聞いたのも初めてだったので余計に頭に残っていた。

私の友達が二十五か二十六才の時に結婚をした。
旦那さんの写真が友達から写メで送られてきた。
見た瞬間、“タイプじゃないし、カッコイイとも思えない…。”と感じた。
友達にすぐ返信した。
“変な顔…。”
と。
友達からすぐに電話がかかり、笑っていた。
『旦那が怒って、“変な顔じゃない!!”って言ってる。旦那がもう一回送ってって言うから、今度は本人が真剣に撮るみたいだから、それを送るね。』
とのことで、また写メが届いた。
やっぱり変わらなかった。
友達の旦那は腑に落ちずにいたらしい。

そして、私ははとちゃんの言葉を思い出した。
“あなたも親の子だから浮気出来る!!”
という言葉を…。

その友達が結婚して、はとちゃんがパパと浮気した状況と大体同じになった。
子どもはまだいないけど、妻持ちだ。

そして私が、知っているのはその時の写メだけで、会ったこともない話したこともない友達の旦那を好きになれるか挑戦してみた。

…すぐに挫折した…。
やっぱりそんなことは出来なかった。

出来る範囲で試してみたくなるのが私の性格だ。
やってみたからこそ、“出来ない!!”と答えを出せるのだ。
それに、昔から大人たちに、
“やってもないのに、出来ないと答えを出すのはダメ!!”
とも言われていたのもある。

いずれ実家に帰った時に、この経験からはとちゃんに、
“私は浮気は出来ないと分かった。”
と伝えようと思った。
この時に、はとちゃんから言われるだろう私の想像は、
“それは仕方がない。出来ないんだったら、もうしょうがない。”
となると思っていた。

そして実家に帰る時が来た。

先ずは、過去の話を出してきて、場を盛り上げようと思った。
『はとちゃん、男はみんな浮気するんだよね?!』
と私は切り出した。
その時、はとちゃんは私に背中を向けていた。
その背中に向かって私は言った。
はとちゃんは、自分のしていたことを咄嗟に止めると、踵を返し私の目の前まで小走りでやって来た。
私はその速さに驚いた。
はとちゃんがまた怒ったのかと表情を見たら、はとちゃんの表情は輝きに溢れているように感じた。
そして、はとちゃんは、
『あなたの彼氏、浮気したの?!』
とワクワクしながら聞いてきた。
これを聞いて私の想像がスタートから崩された。
私は、驚いて、
『違うよ、違う。男はみんな浮気するんだよね?!って聞いただけ。彼氏は浮気してないよ。』
と言うと、はとちゃんの表情は一瞬に輝きから曇り顔に変身して、
『な~んだ…。てっきり、彼氏が浮気したのかと思った…。紛らわしい言い方しないで。』
と何故か注意された。
私はもう一度同じことを聞いた。
はとちゃんは当たり前の顔をして、
『そうよ。前からそう言ってるでしょ。』
と言った。
やっと本題に入れると思った。

『高校からの友達が結婚したんだけど…。』
と私が話してる途中なのに、はとちゃんの表情が輝くと、
『その友達が浮気した!!』
とクイズでも答えるかのように、私に人差し指を向けてそう言った。
私は首を横に振りながら、
『違う。それも違う。友達は浮気してない。』
と言うと、はとちゃんは残念そうな顔になった。
すぐに立ち直ると、
『じゃあ、何が言いたいの!!誰が浮気したの?!』
と少し怒ってそう言った。
どうしてだろうか…、私と論点が違うのか…ズレてるのか…。

『誰が浮気したとかじゃなくて、前からはとちゃんは“男はみんな浮気をするの。私もパパの子だから出来る!!”って言ってたでしょ?!』
と言うと、はとちゃんは当たり前の顔をして、
『そうよ、それが何!?』
と言ったけど、少しイライラしているようにも感じた。
“男はみんな浮気するんだよね。”
と言うと、はとちゃんはニコッと笑って肯いてくれるけど、
“私はパパの子だから浮気出来るんだよね。”
と言うと、どうしてかイライラしながら肯くのだ。

私はもう一度本題の部分を話した。
『それで、私の友達が結婚したんだけど、その友達の旦那さんを好きになれるかと思ったの。』
とやっと私は本題の大事なところを言えた。
私としては、さっきと同じように輝いた表情で何か言われると思った。
でもそうじゃなかった。
はとちゃんの表情が、その逆に豹変すると、普段のはとちゃんからは聞いたこともない大きな声で、
『はぁ~!!あなた頭おかしいんじゃない?!恐ろしいーーーっ!!友達の旦那を好きになる???あんたおかしいよ!!あんた病院に行った方がいんじゃないの???』
と言われた。
あまりの豹変ぶりと声のデカさと言い返させないという圧力で、私はオロオロとなった。ここはどうにか言わないとと思い、
『そうそう、だから好きになれなかったの。私には浮気は出来ないって分かったの…。そんな恐ろしいこと出来ないって分かったの…。』
と私は肯きながら、はとちゃんに同意するように優しく言った。
どうしてだろう、はとちゃんを逆撫でてしまった。
『はぁーーーっ!!』
とドスが利いたような声でそう言うと、
『あんた、恐ろしい~!!』
と私を化け物でも見てるかのような目で見てそう言った。
私は、その言葉に合わせなきゃ~と思い、
『そうそう、恐ろしいって思った。そんな恐ろしいこと出来ないって思った。はとちゃんと同じように、恐ろしいって思ったよ。』
とはとちゃんの気持ちに合わせてそう言った。
はとちゃんは何も言ってくれない。
私は同意したのに私を睨みつけるようにその場に立っていた。
私はどうしたらはとちゃんの怒りが治まるのだろうかと考えながら、うろたえていた。

友達の旦那を好きになれなかったことに、“出来なかったことを許せない!!”と思っているのか、やり方が間違っているのか何にも答えが出なかった。

はとちゃんは今にも私に殴りかかるんじゃないかという怒りを自分で抑えているかのようにいた。
そして、怒りの形相のままだけど、はとちゃんは冷静な口調で
『あんた、おかしいよ。頭おかしいんじゃない?!』
とまた言った。
それで私は説明不足だと思った。
私は浮気が出来なかったから…と、出来る限り申し訳ない表情で、
『はとちゃんに私も浮気出来るって言われてたから、やってみたんだけど出来なかった…。はとちゃんに言われてたのに…、出来なかった…。はぁ~…。』
と頑張ってそう言ってみた。
私もどう伝えたら分かってもらえるのか必死だった。
はとちゃんは顔を引きつらせながら、形相はなんとも説明できないほどの怖さで、
『ああ、そう…。』
と言うと、仕事に行くためかカバンを取り、
『はとちゃん、仕事があるから…。』
と嵐のように私の前から立ち去って行った。

私の想像とは違った結果となったので、私は腑に落ちずに終わりを迎えた…。