『バンゲリングベイ』
『ベースボール』
僕はPlayerでありプレイヤー(全ポジション兼任)であり監督であり観客だった
こどもの頃の僕は
親指だけでバットを握り
ホームランを量産することができたし
親指だけの特殊な握りで
三振の山を築くこともできたんだ
「同級生は皆キャッチャーみたいな体型になってしまっている……」
勿論僕もそうだ
今ならばきっと
5回の素振りで息切れだろう
「本当に野球選手になれるかもしれないという可能性」を
カーテン閉めきった室内で消耗していくことが
あのゲームの醍醐味だったのだろう
息子ができたならばきっと
コントローラーより先に
グローブを買ってあげようと思う
作品名:『バンゲリングベイ』 作家名:或虎