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みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
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『 夜空の星 』

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夢を見たいの。素敵な夢を。
少女ケティは夜空を見上げ、ぽつりと呟いた。夢のないこの国も、昔は夢と未来に溢れていた時代があったと祖母から聞いていた。だが、ケティは知っていた。夢は夢で終わらせることが永遠であると。そして夢が叶わないことが未来を作り上げるのだと。

夜空の星は今夜も雲よりも強く光を放ち、夢を見るのはベッドの中だけにしなさい、とケティに告げているように思えた。誰かの夢でもなく、自分だけが見れる夢を見たい。ケティの願いは夜空に届き、星は彼女のために地上に舞い降りた。

その日から、ケティはその星と共に過ごすことになった。星はケティの中に住み、何をするにも一緒だった。それを知られたら最後、国の軍人に殺されてしまうと星が言うので、ケティは気をつけるようにした。
星の好物は、肉ではなくサラダだという話だったが、いつかきっと自分の中から出て行くに違いない星のために食事をするのは嫌だった。ケティは星に名前を付けようとしたが、星は名前で呼ぶとお前が軍人に殺されてしまうと言うのでやめた。

星はいつでも瞬いている。ケティに素敵な夢を見させた後に。
ケティは夢を見た。夜空に浮かぶ、星が家族だという夢を。

彼らは今も、夜空で星座を作り上げている。
あの時の星はきっと今も、どこかの空で誰かの願いを聞いている。