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敵中横断二九六千光年2 ゴルディオンの結び目

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革命



「これは革命だ! 政府を倒して民衆の手で宇宙に愛をもたらすための闘いなのだ! もはや直接行動しかない! 進め! 恐れるな! 邪魔するものは実力をもって排除しろ! 人類を滅ぼすものはガミラスに非(あら)ず! 本当の敵は目の前にいる!」

地下都市空間に声が響き渡っている。いくつものスピーカーから同時に発せられる音が天井や柱に反響し、こだまを呼んで返らせていた。人は耳でそれを聞くのではなく、全身を包み込まれるように音を感じ取っていた。家が焼かれ崩れる音と、煙の匂い。それらがひとりひとりの者に頭で考えることをやめさせ、ただ『群れに従え』とだけ命じるのだ。地下空間を満たす声は、恐れるな進めと叫んでいた。これは革命だ。革命なのだ。

「そうだ! これは革命だ! 人々よ立て! 立ち上がれ! 今このときに犠牲を厭うな! すべては正義の実現のためだ!」

言語明瞭意味不明瞭。しかし、それで構わなかった。要するに憂さが晴らせればそれでいいのだ。ただひたすらに目の前にあるものを壊し、焼く。人がいれば追いかけて殺す。女ならば犯して殺す。それが正義だ。革命なのだ。何もためらうことはない。罪を恐れることはない。正義のためには当然の犠牲で、それが宇宙に愛と平和をもたらすための道なのだから――。

群れに加わる者達の耳に、演説は殺せ殺せと聞こえていた。あれは敵だと誰かが叫べば、それは敵だ。敵は殺さなければならない。人がいればそれは敵だ。逃げるやつがいれば敵だ。命乞いをするやつがいる。子や老人をかばおうとするやつがいる。そういうやつらは最も許してはならない敵だ。だから殺せ。殺せ。殺せ。

「〈ヤマト〉を行かせてはならない!」声は続けて叫んでいた。「冥王星を撃たせてはならない! 今ならまだ止められるのだ! すべてが手遅れになる前に、我らの手で〈ヤマト〉を止めよう!」