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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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お母さんに伝えることとなった。~その二~

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私はお母さんの電話を切った後、落ち着かずに家の中を歩きまわった。
お母さんはまたかけてくると言ってそのままで待っててとのことだった。
そのままとは言っても私は動いてもいいのだろうか…と始めは分からなかった。
すぐに電話がかかってきそうもないので私は動き始めた。
すぐにはかからなくても1~2時間くらいでかかって来ると思っていた。

そしてその1~2時間は過ぎた。
一向にかからない。

そんな中、私はずっと何かを感じていた。
これは何だろうと…。

お母さんの気持ち…?
どうすればこれが何なのか分かるのか?

集中…?!その何かに集中…?!
…いや、違うなぁ~。
何だろう、この伝わってくるものは…。
集中すると途切れそうになる。
何だろう何だろうと考えると近付きそうになる…。
これはどうすれば…。

何だろうとその伝わってくる何かを考えているはずが、ある時に辿っていることに気付いた。

お母さんの気持ちという感じはするのに、お母さんが見えるわけではなく、ただ煙のような物体が遠くの方から漂うように流れてきているのが分かるだけだった。
その漂いがどうしてもお母さんの想いに感じるのだった。

私はそれを辿っている。
自分の思いや考えが入るとそれは遠のくように鮮明さがなくなる。
これは何処まで行けばいいのかが分からない。
何をしたら答えなのかも分からない。

私はその漂いを追いかけ続けることはしなかった。
ふと感じては追いかけて…、遠のいたら止めて…、また登場したら追いかけて…の繰り返しを家の中を歩き回りながらだったり、家のことをしながらだったり、そんな中していた。

そしてこれが答えだろうかの部分に届いた。

お母さんの姿が見えた。
私の見たことない服を着ている。
黒いズボンに白いシャツで、上から黒いベストを着ている。
お客さんと話しているのだろうか…横からの姿だけで誰がいるかは見えない。
笑ってはいるのだろうけど、お母さんの気持ちが私に届く。
“お客さん早く帰らないかなぁ~。”
と。
笑ってはいるけど、心ここにあらずな状態で、ひたすらに私との電話のことを考えている思いが伝わる。

何なんだこれは…!!

私は答えが出ないままでお母さんの電話を待った。

そうこうしていてやっとこさお母さんからの電話があったのが、電話を切って四時間ほど経ってからだった。

『長すぎっ!!』
と私の第一声が出た。
『ごめん、ごめん。なかなか帰ってくれなくて…、最後はお母さんから、“早く帰ってくれない?!娘に電話したいから。”って言って、家から追い出した。』
というわけだった。
お客さんは二人来ていて、お母さんも入れてこの三人はなんでも言い合える仲だから、こんなセリフ言われようがなんともない三人なのだ。

お母さんはそんなことより本題に入った。
『それでそれで、キリストが“はい”って答えてどうなったの?!』
と聞いてきた。
私はそれよりもさっき起こったことを聞きたかったので、お母さんの話は無視して、
『お母さん、お客さんが来てるのにお客さんの話はどうでもよくて、こっちのことばっかり気にしてなかった?!』
と私は聞いた。
お母さんは笑いながら、
『そうそう、早く帰って欲しくて…。』
と相づちを打つように答えていたけど、一瞬間があって、
『どうして分かったの?!』
と少し強い口調でそう聞いてきた。
なので私はさっき起こったことを説明した。

聞きながらお母さんの思いがみるみるうちに怖がり出したのが分かった。
お母さんは、
『そうそう、そうなの。みんなの話は面白いんだけど、それ以上にあなたの話が気になってね…、早く帰らないかなぁ~って思ってたの。』
と驚きながらもそう言った。
お母さんが怖がるかもしれないけど、私は自分の状況も確かめたくて聞くことにした。
『お母さんの姿も見えたんだけど、お母さんの今日の服って…。』
と私がまだ言い終わらないのに、お母さんの“えーーーっ!!”という悲鳴が聞こえた。私は言うまいかと思ったけど、悲鳴を上げたくせにお母さんは、
『それで、それで…。お母さんの今日の服が何…?!』
と怖さも含まれた声でそう言った。
私は慌てた。
『分からないよ、分からないよ。ただお母さんが見えて、ついでに服装も見えたから聞きたいだけだから…。見えたのは、黒いズボンに白いシャツで、上から黒いベストを着てる姿。こんな服お母さん持ってないよね?!私見たことないから…。』
と私は答えた。
私の話を聞きながらお母さんの相づちは消えていった。
お母さんの服装の答えが分からず私も静かになった。
そしてお母さんはやっと答えた。
『どうして分かったの…。』
と。
私としてもそんなことを聞かれては困る。
一応、この四時間ほどで何が起こっていたのかを説明した。

お母さんは小刻みに焦るように肯きながら聞いていた。
そして、
『うわぁ~、あなたもお母さんの妹と同じことが起きたのかも…。』
と言った。