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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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お母さんに伝えることとなった。~その一~

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キリストが現れて二日目。

目が覚めても変わらず、キリストは手を動かしていて、その後ろに雲が丸くうごめいている塊があった。

どんな状況でも人は一度寝ると慣れてくるものなのかもしれない…。
しゃがんではいるけど、少しはこの状況にも慣れた。
二日目でもあるし…。

私は何度もキリストに尋ねた。
『後ろの塊は神様ですか?』
と。
キリストの答えは、
『はい。神ですよ。』
と同じ答えが返ってきた。
何度も同じ質問をしているのに、キリストは切れたり面倒臭がったりすることもなく、いつも同じ口調で優しく答えてくれる。

神様はキリストの父親だと勉強で習ったのを思い出した。
私はそれを聞いた。
キリストは相変わらず優しい口調で、丁寧にゆっくりと、
『はい、神は私の父ですよ。父は偉大で素晴らしい方ですよ。』
と答えてくれた。
後ろの塊がどうして素晴らしいのか分からなかった。

そんな風に過ごしていたら電話が鳴った。
着信を見るとお母さんからだった。
私は強制的に意を決することとなった。

私はしゃがんだまま電話に出た。
『はい、もしもし…。』
といつものようには元気を出せず、低いトーン・小さめな声でそう電話に出た。
お母さんは私の状況に気付くわけもなく、真逆のテンションで一言目から、
『もしもし、お母さんだけど、今家に誰が来てると思う?!』
とノリノリでそう聞いてきた。
かけてきて質問から始まる…。
お母さんからたまにあるパターンだけど、今の私にはそのテンションに付いていけない。それでも私はしゃがんだまま答えた。
『えー、分からない。』
とやっとこさ出た低いトーンのまま答えた。

お母さんのテンションが止まったのに気付いた。
『どうしたの?!何かあったの?!』
とお母さんの口調が変わって、そう聞いてきた。
私は言葉を出したくなくて、
『えー…、んー…、あー…、んー…。』
と言うだけだった。
『何があったの?!』
とお母さんはまた言った。
『いや~、んー…、昨日お母さんに電話しなかった。』
と私は答えるのがやっとだった。
『うん、しなかったけど…。』
とお母さんは言った。
『んー…、メールもしてない…。んー…もしもし…。』
と私が言うと、お母さんは、
『えー!!んー…、もしもし…。』
と私の唸り声を真似するように言うと、
『えっ?!まさか?!あんた…見えたっ!!もしかして、…まさか?!』
とただごとじゃないと慌てるようにそう言った。
でも私ははっきり答えられなくて、
『うーーー…んー…。もしもし…。』
と言うだけだった。
『え~~~~っ!!うそっ!!あなた見えたの?!…神様が…?!』
とお母さんは雄叫びを上げてそう聞いてきた。
『んー…違うか…、んー…。』
と私は頑張って答えた。
2~3秒お母さんに間があって、
『まさか…!!…もしかして…キリスト?!』
と言って、お母さんが停止しているのを感じた。
私は事実しか言えないので、
『うん…。』
と肯いた。
お母さんは飛び上がるほど驚いて、
『ウソウソウソウソウソ…?!』
と連打した。
どうしてだろうその時に私は初めて笑った。
『うん、たぶんそうみたい。』
『何でたぶんなの?!』
とお母さんは困った。
『本人が“はい。”って言ったから。』
『えーーーっ!!あなた話したの?!キリストと…。』
とまたお母さんは困った。
私が肯くと、
『どうやって話したの?!』
とお母さんが困ったまま聞いてきた。
『キリストですか~?って聞いたら、“はい。”って。手を動かしながら。』
と私は答えた。
『はいって答えたの?!キリストが…。あなた話せるの?!』
『うん、そうみたい。話しかけたら何か言ってくれる。』
私がそう言うと、またお母さんは困り出して、数秒考えていた。
『手を動かすって何?!聞いたことないよ。』
とお母さんは疑うように聞いてきた。
『お仕事してるって。』
『仕事?!意味が分からない…。』
『あっ、霊的食物を人に与えてるみたい。手から何か出てた。』
と私が説明すると、お母さんはまた慌てだした。
『ちょっと待って、今お客さんが来てるから後でまたかける。だから待っててよ。そのままでちゃんと待っててよ。』
と言ってお母さんとの電話を切った。

私はどうしたらいいか分からず、電話を切った後もしゃがんだまま、家の中を歩きまわった。
お母さんからまた電話がかかるので、上をチラチラ見ながら私は待つことにした。