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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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キリストが現れた次の日。~その二~

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なぜだろう…キリストが消えない。
立ち去ってくれない…。
仏教だからか…違う宗教の勉強はしているけど、信者ではない。
だからと言って信者になりたいわけでもなく、洗脳されたくもないし…。
そんなことも立ち去らない理由となるか…?!
私は考えた。
勉強を始めてまだ間もないので、なんの知識もない。
未熟な自分は何も出来ない…。

私は家の中を歩き回るばかりだった。
狭い部屋を隣の部屋へ行ってはリビングに戻り、また隣の部屋に行く…。

そんなことを続けても答えなんて出はしない。
私が悩んでいるのに、手を差し伸べてくれるはずのキリストは、そんな私を無視してか、変わらず手を動かしている。
何のためかは分からない。

家の中を歩き回りながら私は気付いた。
“あっ、キリストだけじゃない…。神もいた!!”
と…。
私はキリストが本物か偽物かサタンかどうかばかり考えていて、神様のことを忘れていた。
そして私は神様を探してみた。
一面に広がる雲の上にキリストがポツンといるだけで他に何もない。

私はサタンかもしれないキリストに恐る恐る尋ねた。
『神様はいますか~?』
と。
キリストは答えなかった。
答えない代わりに、また私はキリストから遠く離された。
その意味がすぐには分からなかった。
私は首を傾げてキリストを遠くから見ていた。
キリストから、
『私ではない。私ではなく他の所をご覧なさい。』
という思いが伝わった。
私はもっと全体を見回した。

そして私はビビった…!!
さっきまでそこにはなかったはずなのに、キリストから後ろ(百メートルほどかなぁ~。)の離れたところに、大きな大きな雲の渦というか丸い塊というか…ゆっくりと動いているような漂っているような…そういうものがあった。
私はすぐに分かった。

『神だ!!』

と。
姿がない…。ただの塊だけだ。
なのに神様だと分かった。

第三の目に映っているけど、自分の顔にある目で見るよりは斜め上くらいの位置なので、私の少し上にいるという感じになる。
なので私はその丸い塊を見た瞬間、ぶつかりそうな感じを感じ、十センチほどしゃがんだ。
歩きまわっていた私はその姿勢のまま止まった。

“神様だ~、神様だ~、どうしよ~…。”
と困り始めて、私はまた家の中を歩き出した。
チラチラと丸い塊を見てはため息を付き…を繰り返した。

頭を過るのは、“仏教の私が神様を見ていいのか…。”
ということだった。
見えたのが仏なら良かったかは分からないけど…。

“バプテスマ”
というものがあるとお母さんから何度も何度も繰り返し教わっていた。
それは受けるもののようで、宗教によってやり方は違うようだ。

お母さんからは、
『聖書について勉強をして、“神について証すものの資格がある”と勉強を教えてくれる人が認めたらバプテスマを受けられるの。この宗教のバプテスマは頭まで水に浸かって、水から上がってくる時に、神がいろんな煩いを拭い去ってくれるのよ。その瞬間はめちゃくちゃ気持ちがいいっていろんな人から聞いてるから、お母さんも早く受けたくて…。バプテスマを受ける資格があるって認めるのも神からの霊感で分かるみたいよ。』
と聞かされていた。

宗教のおばちゃんたちは今の私に起こっていることを経験しているんだと私は思った。
でも私は信者になりたくもないし、バプテスマを受けていない。
…どうしよう、答えが出ない…。

キリスト曰く、その後ろにいる雲の塊が神様だと言う。
人の形をしていないので、話しかける気にもなれず、私はたまに見る程度でどうすることも出来なかった。

私はあまりの怖さでお母さんに電話出来なかった。
今の状況を口に出すのも嫌だったのもある。
メールすらも出来なかった。
“神”とか“キリスト”という字をメールで打つのもためらうものがあったのも事実だったからだ。

この日は、答えは出ることなく右往左往し続ける日となった。