博士のロボット。
【著】松田
○登場人物
・ロボット
・助手?(モーリス)
・助手?(小笠原)
・助手?(白岡)
【1】犯人探し
●壊れたロボットが倒れている。それを助手3人が見つけた。皆、目の前の無残な光景が信じられない。
小笠原 なんてことだ。
白岡 博士のロボットが…。
モーリス これは、どういうことですか。
小笠原 ……。
白岡 壊れている。
モーリス いえ、壊されています。
白岡 誰がっ
小笠原 犯人を見た人はいるか。
モーリス この研究所は網膜認証ですよ。
白岡 それって……。
モーリス 容疑者は我々3人です。
小笠原 いや、4人だ。博士がいる。
モーリス 博士がですか?
白岡 バカバカしい。なんのために博士が自分のロボットを壊す必要が。
モーリス このロボットは博士の最高傑作ですよ?
小笠原 なら犯人はお前かモーリス。
モーリス 私が? ありえません。
白岡 俺でもないからな。
小笠原 犯人が名乗るわけ無いだろう。
モーリス 犯人探し、ですか。
白岡 俺はさっきまで博士の論文を書いていた。
モーリス 私は先ほどまで博士とこのロボットについて話しておりました。
小笠原 僕は陸軍総司令官にロボットの戦闘機能について説明を。
白岡 この開発室が空だった時間があるわけか。
小笠原 やはり外部の……。しかし、どうやって。
モーリス ミスタ・オガサワラ。まだ決めるのは早いです。
小笠原 なんだと。
モーリス 我々は科学者です。そしてこの壊れ方、力づくでやったとは考えにくいとは思いませんか。
白岡 まさか、俺たちの中に?
モーリス ええ、誰か、一人になった時があれば。何かを仕掛けることも可能かと……。
小笠原 思い出してみよう。
【2】モーリスのアリバイ。
●小笠原ハケ。照明F・C「明転→暗転→明転」をなめらかに。ロボットはまだ壊れていな
い。
モーリス ミスタ・シラオカ。どう思いますか、このロボットを。
白岡 博士は最高傑作だと言っていた。
モーリス しかし、当初の目的は民間向けだったはず……。
白岡 そうだな。
モーリス 軍の出入りも頻繁に。
白岡 そうだな。
モーリス 博士は何を考えているんでしょう……。
白岡 天才の考えることはわからないって。
モーリス もっと真剣に考えたほうがいい気がします!
白岡 そうだな、じゃ、それは任せた。
モーリス 私だけではどうしようも……。
白岡 俺は論文があんの。じゃな。
モーリス ちょっ、シラオカ! ミスタ・シラオカ!
白岡 ったく自分で書けよなぁ。
●白岡論文書きにハケ。
【3】小笠原のアリバイ。
●小笠原、来客を待たせてきた入り。ロボットは普通に滑らかに人間のように動いて、モ
ーリスといる。
小笠原 なんだ起動してるのか。
モーリス ええ、チェックを。
小笠原 調子はどうだ?
ロボット 良いよー。
小笠原 そうか。
ロボット うん。
モーリス 博士はすごいですよね。
小笠原 ああ、人間と見紛うな。
ロボット 早く人間になりたい。
小笠原 ははは! 本当に人間になるかもな。
モーリス ……。
小笠原 今な、陸軍総司令官が来ている。
ロボット 戦場に行くのかな。
モーリス ……。
小笠原 どうかな。
ロボット 人殺しはしたくないや。
小笠原 まだ安心だ。あちらは君に不満があるようだし。
ロボット 不満……。
モーリス ミスタ、ミスタ・オガサワラ……。
小笠原 おまえは思い入れが強いからな。嫌か。
モーリス 嫌です。
ロボット 泣かないで、モーリス。
小笠原 博士は変わってしまった。
ロボット 優しい博士を覚えてる。
モーリス 博士を止めましょう。
小笠原 無理だ。
モーリス ……。
小笠原 もう軍にこいつの存在は知られてる。
モーリス 止められないのですね……。
ロボット モーリス、悲しまないで。大丈夫だよ。
モーリス 少し、博士と話してきます。
小笠原 わかった。……そうだ、白岡は?
モーリス 博士の論文を書きに行きました。
小笠原 あぁ、そうか。
ロボット 小笠原、新しい装備見る?
●モーリス、博士の部屋へハケ。
【4】小笠原のアリバイ
小笠原 新しい装備?
ロボット うん、熱感知と超音波だよ。
小笠原 まだついてなかったのか。
ロボット うん。
小笠原 どんどん戦場向けになってきてるな。
ロボット そうだね。
小笠原 おまえも嫌か。
ロボット 嫌だなぁ。
小笠原 まだ、拒否反応があるだけ良かったよ。
ロボット なくなったら、殺すのかな。
小笠原 たぶんな……。
ロボット 助けて。
小笠原 ……あぁ。
じゃあな。総司令官様を待たせてるから。
●小笠原、来客の元へハケ。
【5】現在。
●照明F・C「明転→暗転→明転」をなめらかに。ロボットは壊れている。モーリス、小笠
原、白岡入り。
モーリス ……なるほど。
小笠原 一人の時間はそれぞれあったわけだ。
白岡 容疑ははれないか。
小笠原 モーリスは博士とずっと一緒に?
モーリス はい。
白岡 とりあえず、博士に報告しよう。
モーリス 行ってきます。
小笠原 僕は総司令官様に期限の延長をお願いしてきます。まだ追いつくでしょう。
白岡 ……。
モーリス ミスタ・シラオカ。直せないか調べておいてください。
白岡 ……。
モーリス シラオカ?
白岡 ……あ、あ。わかった。
小笠原 任せたぞ。
白岡 ……ふ。
●モーリス、博士の部屋へハケ。小笠原、陸軍総司令官の元へハケ。
場には白岡とロボットのみ。
白岡 ふふっふふ……。
成功だ……。成功したぞ。君のおかげだ、白岡くん。
君の脳は失敗したが私はついに成功した。
君の犠牲は無駄ではなかったよ。白岡くん。
やはり私は天才だなぁ〜。
●白岡、その場で携帯を手にし、電話する。
博士 お国の為に!
総司令官どの。記憶操作の実験は完了致しました。……いえ、元には戻せません。
……ありがたい。
はっ! 我々愛国者のために。
●博士、電話を切る。
博士 モーリス、小笠原。
●モーリス、小笠原入り。
小笠原 博士に伝えてきました。
モーリス 延長を聞き入れていただけました。
博士 二人共、この死体を処分してください。
○登場人物
・ロボット・・・・・・助手(白岡)
・助手?(モーリス)・・改ざんモーリス
・助手?(小笠原)・・・改ざん小笠原
・助手?(白岡)・・・・博士