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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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キリストが現れた次の日。~その一~

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次の日、私は目覚めると同時に昨日の夜の出来事が鮮明であることにショックを受けた。太陽はしっかり昇って、お化けが出る時間帯じゃないのに、あいつが見えた。
そう、キリストだ。
夢じゃなかった~と私は嘆いた。

“立ち去れ!!”
と口に出して言ってみたものの、立ち去らない。
“目の前から消えろ!!”
とあがいてみたものの、消えない…。

宗教のおばちゃんたちがいつも言っていることを実践しているのに、何の役にも立たない。
『“立ち去れ!!”と強く言うのです。そうすればサタンは立ち去ります。』
と教えてくれたはずなのに…。どうしてこんなにも役に立たないのだろう…。
いざの時に使うものなのだろうけど、今がその“いざ”の時な気がした。

私は一旦諦めて、洗濯やら朝ごはんやら家のことを始めた。
たまにふと思い出しては見てみる。
…やっぱりいる…。

そういえば、宗教のおばちゃんもお母さんに勉強を教えている人も言っていた。
“神やキリストは見えない。見たものはいない。”と。
その意味がようやく分かった気がした。
確かに、目には映らないのだ。
頭の中に映るので、目では見れなくて当然なのだ!!
頭の中に映るけど、目の前にいるように見える。
ドラゴンボールの天津飯のおでこにある目の位置と言うと例えやすい。
そこで見ているような感じだ。
私はそれを第三の目と言うことにした。

家のことも終わると私は恐る恐る確かめてみようと思った。
もう少し近付けないかなぁ~と、どうすれば近付けるかなぁ~と考えた。
思うと同時に近付いた。
何メートルだろう…。
十メートルもなさそうだ。
でも、はっきり見えない。…もう少しと思ったら、思うと同時に近付いた。
ほぼ隣くらいまで来た。
挿絵に描かれている服とは違った。
挿絵には一枚布をまとったような姿だったり、布を腰に巻いている姿だったりしたけど、そこにいるキリストは、中に着ている服がどんなものかは分からないけど、その上から着物のような羽織を羽織っている。
羽織は地面というかそこは見た感じ雲の上なので、雲の地面にスレスレくらいの長さで、襟は緑・青・紫があるように見えた。
はっきりと見えないのが悔しい。
ボヤけるというか漂うように見えるのでなんとも言えない…。

あまりにも当たり前にいるので、拍子抜けしてしまうほどだった。
私が近付いたのに何も起こらないし何も変わらない。
キリストは変わらず手を前に出して動かしている。
何をしているかは分からない。

状況が変わらないので意を決して私は声をかけた。

『キリストですか~。』
と伺うように心の中から声をかけた。
口に出してはいけないという教えがあるので…。
もちろん返事が来るとは思わずに…。
でもその思いは違った。
返事があったのだ。
優しい声で、
『はい。』
と…。
耳に聞こえるわけではなく、頭の中に声が届いた。
“どうしようーーーっ!!”
と慌て始めた。
どうしよう、どうしよう…、返事が来た…。
自分がキリストだと認めたよ…。
私、どうしたらいい?!と一人で家の中を慌てて歩き出した。
じっとしていられない。
私は家の中を歩きまわった。

そして私は“あっ!!”と思ったので、もう一度声をかけた。
『手を動かして、何をしてるんですか?!』
と恐る恐る聞いた。
聞くとこは、“そこ?!”と思われるかもしれないけど、何をしていいのか分からなかった。
するとまた優しい声で、
『お仕事をしてるんですよ。』
と答えた。
言葉が少し長くなった!!
そしてやっぱり耳には聞こえない。

何でだろう?!二言しか聞いていないのに、
“優しい~。”
と感じてしまった。
なんて優しい人なんだと…。
でも、宗教のおばちゃんには、“騙されてはいけません。サタンはどんなことでも行えるので、サタンのまやかしに騙されてはいけません。”と言われていた。
その言葉が頭を過る。
でもお母さんに勉強を教えている宗教のおばちゃんは、“サタンは神やキリストが怖いから、偽りで神やキリストの姿にはなれないのよ。サタンは神やキリストのことを話すのは怖くて出来ないのよ。”とも聞いている。
同じ宗教で同じ立場の人なのに、多少言い分が違う。
出来ないのに出来ると言っているようで、信じ方が分からない。
でもこれは悪者のまやかしかもしれない…と思う私もいることは間違いない。

おばちゃんたちを信じるべきか、自分をキリストだと言っている触れも出来ないその人を信じるべきか…悩む。

それでも私は知りたかった。悪者でも何でもいいから、見えていることが何なのか、少しでもいいから知れるのなら知りたかった。

なので、仕事の意味が分からなかったから私は、
『お仕事?!』
とまた問いかけた。
『はい、お仕事をしていますよ。』
と答えてくれた。
『何のお仕事ですか?』
とまた問いかけた。
すると私はキリストから十メートルくらい離されて、
『これが見えますか?』
とキリストが手を動かしている姿を見せられた。
よく見てみると、手から何かが出ている。
何だろうと私は考えた。
キラキラ光ってもいるし、歪んだり波打ったりもしているけど透けている。
例えて言うなら、太陽の光が雲の隙間から差し込んでいるあの光の部分のようなもの。
それがキリストの手から出ている。
それは何だろう…と考えていると、キリストは嬉しそうに笑ったように感じた。
“何だと思いますか?”と言いたいのだろうか…。

宗教のおばちゃんたちに習ったことを一生懸命思い出した。
『あっ、霊的食物?!』
と私は思った。
『そうとも言うかもしれませんね。』
と言ったキリストの言葉が私の頭の中に届いた。

“霊的食物とは、神が与えてくれている力のようなもので、神を信じる気持ちが強ければ強いほど霊的食物をたくさん与えてくれるんですね。”
とおばちゃんに習った。

私は二度、合同の勉強会に行ったことがある。
お母さんの方と私に教えてくれている方のどちらにも一度ずつ。
その時に、どちらとも理由もなく涙が溢れそうになった。
ひたすら涙がこぼれそうになるのを我慢した。
そのことをおばちゃんに話して、
『これも神からの霊的食物なんですか。』
と私が言うと、おばちゃんは笑顔で、
『まあ、そのようなことがあったんですか!!それは素晴らしいことです。…はい、それは確かに神からの霊的食物ですね。キリストが四十日間、死ぬこともなく飲まず食わずでいられたのは、神からの霊的食物があったからなんですね。神を感じることが出来ましたね。』
と答えてくれた。

私はそのことを思い出して疑問が出た。
おばちゃんは、“悪霊のまやかしに騙されてはいけません。”と言っていた。
涙が溢れそうになったことは、悪霊のまやかしではないとどうして分かったのだろうか…。
感動させておいて、サタンの手の中に丸め込む魂胆かもしれないとかはないのだろうか…と。
はっきり神の仕業かサタンの仕業かを言い当てられるのをどうして出来るのかが分からなかった。

そしておばちゃんたちの言い分は、霊的食物は神から出ていると言う。
でも私が見ているのは、キリストから出ている霊的食物…。