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月とコンビニ
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ATMに入りたいっ!?

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『ATMに入りたいっ!?』

【著】①松田②山田

○登場人物
相棒1
相棒2
煙草屋
猫耳

【1】相棒2の部屋の中。相棒1はよくこの部屋に来ている。パソコンに向かいスーツでビシッと決めた「相棒2」その付近で大の字に寝転がっている私服の「相棒1」

●「相棒1」「相棒2」板付き
相棒1   なぁ相棒、世界中のATMを集めたらどれくらい金が入ってるんだろうな。
相棒2   はて、オイラにはわからんお。
相棒1   おれもわかんねー。
相棒2   しかし、果てしなく大きな金額ではありますな。ぐふふ。
相棒1   そう思うよなぁ。……もし、さ。変なコト言うけど、もし、ATMの中にもう一つの世界があったら?
相棒2   ぐっふ〜っ。さすが、オイラの相棒ながら変なことを言うでありますなー!
相棒1   そうだ、おれはATMの中にもう一つの世界があると思うんだ! 在ってもおかしくないだろう? ほら、電脳世界とか、霊界とかあるし。異世界ってやつだって物語の中には存在してるんだ。そもそも俺たちが存在しているこの世界はどういう世界として存在してるんだ? ってことになるし!
相棒2   ぐふふ。お主、そういう話にたどり着きますか。オイラの世界論に染まり始めたようですな。嬉しい、嬉しいでありますよ我が相棒よー!
相棒1   もし、ATMの中にもう一つの世界があったら……どんな世界なんだろう。
相棒2   空から金が降ってきて、砂利は小銭、金色の建物? つまらん! オイラとしたことが、果てしなくつまらない、ありきたりな想像をしてしまったであります!
相棒1   あぁ、さすがにそれはない。つまらん。
相棒2   ぐほぉ〜! 追い打ちを! 瀕死のオイラに追い打ちを! お主やりおるな。
相棒1   そこでだ、確かめたいと思ってな。ATMを一台攫ってきた。
相棒2   ぬっほ〜! なんという急展開! 相棒よ、それは窃盗ということで合っているでありますか!?
相棒1   あぁ。盗んだ。
相棒2   冷静でござる! お主の精神世界はどぉーなっているでありますかぁ!
相棒1   好奇心であふれている。
相棒2   では仮にATM世界が在るとするでありますよ? どぉーやって行くでありますかぁ!
相棒1   おれ、プラグイン。みたいな?
●相棒1はATMに向かって歩き出す。
相棒2   そんなんで行けたら世界は量産されるであります! 良いでありますか相棒! 世界には秩序というものがあるのであります! それを無視した世界論など邪道も邪道! オイラは相棒に失望中でござるよー!
相棒1   おれ、プラグイン!

●照明チカチカ
●相棒1ハケ

相棒2   聞くであります相棒! あーいぼーう? あーいーぼーう?

●場面は二分割。上手か下手が部屋。逆がATM世界。

【2】部屋とATM世界。上手を部屋とし、下手をATM世界とする。相棒1はATM世界
にいる。相棒2は部屋に取り残されている。

相棒1   眼がイてぇぇ。なんなんだあの激しい光は。
相棒2   ぐふふ、わかっているでありますよ相棒。隠れているなら出てくるであります! オイラは怒っているのでござるよ。
相棒1   ……ん……なんだ、ここ……
相棒2   出てくるでありますよぉ〜、オイラはもう怒ってないでありますからぁ。
相棒1   はは、もしかしてATMの中? ATM世界ってやつ? うそだろ? ははは。
相棒2   一人は寂しいのでありますよぉ。あいぼーう……
相棒1   ホントにあった! 単なるおれの思いつきが、現実のものになったんだ!
相棒2   そ、そうだお。相棒の世界論も認めるであります! きっとそういう行き方もあるであります!
相棒1   おい! 相棒! あったぞ! 異世界を発見したんだ! 俺たちの夢がっ……相棒?
相棒2   おかしいでありますぅ! 相棒はこんなにいぢわるはしないでありますぅ!
相棒1   置いてきちまった! 早く戻らねぇと!
相棒2   はっ……いやいやいや。さすがに……いやぁ……いやいやいや。まさか。いやぁ、さっきは認めるって言ったけども……相棒、ホントにATM世界に行ったでござるか? いやぁ、いやいや。
相棒1   どーやって戻るんだぁっ! おれ、プラグアウト! 戻らねぇ! おれ、プラグイン! 戻らねぇ!
相棒2   いやいやいや、まさかでありますよ。……はたしてATMはどのように……
●相棒2はATMを調べに行く。
相棒1   落ち着こう。よし。さて、この世界でどうやって暮らしていこうか。
相棒2   ぬほ〜! こりゃあきらかに相棒はこの中であります! なぜならば画面に写っているのでありますよ〜!
相棒1   困った。とりあえず街でも村でもいいから住人を探そう。
相棒2   これは、ゲーム? ゲーム画面のようでありますな。あ、相棒、どこに行くでありますか! 迷ったら動かずじっとするであります!
相棒1   ……ん? これは、砂じゃない、砂金? 砂金か!
相棒2   見てられないお! オイラ、プラグイン! ……オイラ、プラグイン! 入れないでありますよぉ。
相棒1   すげぇな。でも、なにも砂漠がスタートじゃなくても。先が見えねぇ。
相棒2   相棒の体力が少し減っているであります! ど、どどどうすれば!? ゲームオーバーになったらどうなるでありますかぁ!
相棒1   ん? ラクダ? お、おーい! そこの人! ラクダを貸してくれ! え、1000メリー? 1000円みたいなもんか。
相棒2   相棒、ラクダよりも水であります! ラクダも大事でありますが、水を手に入れるであります! そしてそれはラクダのようでありますが見たこともない生物であります! 暑さで頭がやられているのでは!?
相棒1   金、ないぞ。そうか世界が違うんだ、金も。やべぇな。
相棒2   無一文でありますかっ。このままでは、本当に死んでしまうでありますよ。
相棒1   すいません、金ないんで、ラクダくれません? はは、無理に決まってんじゃん。
相棒2   ATM……もしかするともしかするでありますよ! 1000円、入! 金!
相棒1   お? 1000メリー出てきた。あ、じゃあ、ラクダ貸してください。
相棒2   できた……できたでござる。……な、なんという課金システム!!
相棒1   ゆけ、ラクダ! っはー快適。
相棒2   相棒、1000円貸しでござるよ。さて、オイラはどうやって相棒を連れ戻すか考えるお。
●相棒1ハケ