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みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
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『 アイドルその後10年目の企画依頼について 』

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あの歴史的解散から、10年が経った。
その後のアイドルたちがあまりにもパパラッチ達に追い回されたと騒ぐので、またシナリオを作ることになった。
失われた10年を取り返すための、奇抜なシナリオを書いて欲しいという話なので引き受けることになった。

まず、幾つかの案を考えてみたが、どれも実際に行われたことばかりである。
ある人は女優の道へ、ある人は歌手の道へ、ある人はお店の店長へ、ある人は普通の主婦に。女優はAV女優に、歌手はバーの専属歌手に、店は強盗に襲われ、主婦はいじめにあった。

だが、彼女たちは元スーパーウーマン達である。
アイドルABC以外の者達は皆、一般の人々よりは成功者として見なされ、20代にして頂点を極めた者の行く末は決まっていた。平凡な主婦、というのが彼女たちのあだ名であった。

ある時、同窓会と称したテレビ番組があり、皆、意味もなく今の生活を晒されることになった。大人になったアイドル達は、夫で全てが決まってしまうのだと知ったが、一般人であるため伏せられることになっていた。社長である旦那さんを自慢したい人は悔しがり、結婚していない人は離婚したことになっていた。
平凡な主婦は一日だけ、波瀾万丈の人生を送ったことになった。

人生の平均値を統一させようと皆、必死で作り上げている世界に気付いたのは私だけなのか。シナリオは平凡なものこそ奇抜であった彼女たちの10代に戻してあげられたら、と私は考えた。
そこで、宇宙へのお願いシナリオを私は書き上げることになったが、残念ながらそのシナリオは審査を通らなかった。地球上の人すべてがアイドルを目指すと困るからである。彼女たちの中には、整形手術をし過ぎている人も何人かいて、もはやシナリオなど必要ないのではないかと思われた。

その時、アイドルABCを蘇らせる企画を思い付いたのである。起死回生のシナリオではあったが、いくら飛んだ人々でも頷いてはくれないだろう。
すると、反対の声も上がらずその企画は通ったが、それは30年後に実行されることとなった。

解散後のアイドルたちは、各々の道を歩み、10年間の戦いの末に平凡と言われる生活を手にしていた。
何も変わらず、何も考えていないはずの人は、ABCの3人しかおらず、常に復活を望まれるのも彼女たちだけである。それは、業界の神と呼ばれるある年寄りが死んでしまう前には実行しておかなければならないのだが、他の者達はそれを知らないようであった。私は困って、その年寄りもまたABCと共に復活してもらうシナリオに変更した。

それが通れば、この先、私が悪夢に苦しめられることはないだろう。
だが、私がそのシナリオが成功したかを知ることは出来ない。
私の命と引き替えに、アイドルABCと年寄りは復活することになる。

最後のシナリオは結局、元の木阿弥であるが、居なくなった者に気付く者が、続きのシナリオを書くことになる。それまでの長い戦いが、これから始まる物語である。