二度目、三度目と続き始めた宗教の勉強。~その二~
ただひたすらに“納得がいかない~!!”と心の中で叫んでいた。
でも私は前向きに、いつかちゃんとした答えを教えてくれるに違いないと思い込んで勉強を進めた。
おばちゃんは次の質問を冷たいトーンから始まり、だんだんと明るいトーンへと切り替わりなが質問を投げかけてきた。
『ではみ使いたちは、ここには“神の民”とありますが、神の民とは私たち人間のことなんですね。今日み使いたちは私たち人間をどのように守ってくれていますか?』
私は本から抜粋してノートに書き写した部分を読んだ。
『霊的に有害なものから守っています。陣営を張って保護しています。』
と答えたら、おばちゃんの表情は輝き、
『素晴らしい答えですね。そうですね。その通りなんですね。』
と言った。
さっきのおばちゃんをおばちゃん自身が忘れたのかと疑うほど、私の気持ちは複雑だった。
『陣営とは何ですか?!』
と私は聞いた。
『陣営というのは、神から出ている幕のようなもので、その幕は目には見えません。その幕が私たち人間を守っているということなんですね。』
と答えてくれた。
『おばちゃんたちのように、神の存在を証すものの人たちの周りには、この幕はあるんですか?!』
と私は尋ねた。
『どうでしょうかね~。あるんでしょうか…。私はあると信じていますけど、神の幕があるといいですね。』
と周りを見渡すように、おばちゃんは輝いてそう言った。
“おばちゃんっ、おしいーっ!!”
と私は言ってません。
でも、“神の存在を証すもの”なのだから、そこはいつものように心から、
“はい、ありますよ!!”
と言って欲しかった~。
『昔み使いは人間にも見えていたのですが、今この時代は、神が見えなくしてしまいました。と本に書かれていますね。ということは、み使いがいるということは分かりますね。昔は見えていたんですね。』
とおばちゃんは説明した。
『昔は見えたとありますが、み使いは見えなくなったのに悪者は見えるのはどうしてですか?!』
と私は聞いた。
おばちゃんは笑顔のまま固まった。
私は待っていた。
待っていたと言っても数秒ほどだった。
『神はみ使いたちを私たちから見えなくしてしまったんですね。』
と満面の笑みでおばちゃんはそう答えた。
私は元気よく“はい”と返事をして、
『悪者が見えるのはどうしてですか?!悪者はサタンの手下ですよね。その手下たちです。サタンも見えるんですか?!』
と聞いた。
『そうです、そうです。手下です。』
と強張った表情でおばちゃんは答えて、私はまた数秒待ったけど続きは出てこなかった。“なんでやねん!!”と突っ込みたくなった。
私は別からも質問した。
『昔の絵画に、この本の挿絵にそっくりな天使なのかみ使いなのかが描かれていますが、あれは証すものの人たちが描いたんですか?!』
おばちゃんは驚いた顔をして、
『いいえ、違いますよ。私たちが描いたものではありません。』
と強い口調で答えた。
『あの時代はもうみ使いは見えなくなってますか?!』
『はい、その時代はもうみ使いは見えなくなっています。』
とおばちゃんは答えたので、私はなるほどと肯き、
『では、あの絵画を描いた人たちは、サタンやサタンの手下たちのせいで見えるはずのないみ使いを描いたということで合ってますか?!』
と聞いた。
おばちゃんは目を見開き、
『合ってます、合ってます。そうです、悪霊のせいで見えたはずです。…でも、その中に見えたわけではなく、他の人の絵を見て想像して描いた方もいるかもしれません。』
と答えた。
なるほど~、と私は肯きたかったけど、どうしてか肯けなかった。
そしてもう一度、
『サタンやサタンの手下はどうして見えるんですか?!』
と聞いた。
『サタンは見えませんよ。』
とやっとおばちゃんは答えた。
でも手下については答えない。
こんなやり方悪循環だと感じイラッとした。
どうして答えを出し惜しみするのか…。
そこで私は、
『私はちゃんと知りたいんです。事実だけを科学的にちゃんと知りたいんです。』
と言った。
『はい、私は神について証すものですからちゃんと教えますよ。科学的に知りたいのも分かってます。』
とおばちゃんは言った。
でもおばちゃんは私の質問に答えないので、もう一度聞いた。
そしたらおばちゃんは早口で、
『手下については分かりません。』
と答えた。
何だ?!その答えと思ったけど、分からないならそれはしょうがないと思った私は、
『分からないならいんです。分かることだけ教えて下さい。』
と言ったら、おばちゃんは豹変して、
『はい。分かってますよ。私は神について証すものであってサタンについての証すものではありませんからね。神についてだけ答えられるんです。』
とまくし立てるようにそう言った。
神についてだけ答えられるなら、神様はサタンと関わった事があるんだから説明できるはずなのに…。いつもいつもそれは悪霊とかサタンの仕業だとはっきり答えているのに…。悪霊やサタンについて普段はあんなにも説明してくれているのに…。たったこれだけを答えてくれないなんて…。と心で思った。
もちろん口には出さなかった。
そして勉強はまだまだ続くのだった。
作品名:二度目、三度目と続き始めた宗教の勉強。~その二~ 作家名:きんぎょ日和