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おかえり レイ君!

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チィー チチ チチ
うら口で かわいい ことりの声がします。
キセキレイの レイ君です。
レイ君は 去年 うら口ののき先で 生まれました。ひなは みんなで 四羽。
でも ときどき こわいヘビが来て
その度に 一羽 一羽と食べらたのです。
パパ ママは けんめいにヘビとたたかい
やっと レイ君だけ 巣立ちができました。

それから一年。おなかが金色にかがやく
りっぱな オスのキセキレイになって
帰って来たのです。おやあ、もう一羽、かわいらしい メスにキセキレイを 連れていますよ。レイ君のおくさん、キセキちゃんです。

レイ君は 木の枝をせっせと集め キセキちゃんのために すを作っています。でも レイ君が選んだところは かべにかけられた プランターの中。人間のおとなぐらいの 高さです。
「ねえ、レイ君。どうして もっと高いところじゃないの?ここじゃ、いつも 人間にのぞかれちゃうわ。こわくなぁい?」
キセキちゃんが 不安げに 聞きました。
「うん。去年のぼくらのすは あそこののき先にあったんだ。ママが人間を 怖がったからだって。でも ヘビが登ってきて 兄弟がたべられちゃった。パパ、ママ、ひっしにたたかったけど、小さな体では ヘビには勝てなかった。
さいごはぼく、と思うと とってもこわかったよ。けれど、パパ、ママの悲しそうなかおを見るほうが もっとつらかったよ。だから、一日でも早く 空を飛べるように きらいな虫も がんばって食べたよ。
あしたには とべそうかな というときに----。
また あのヘビが お腹を空かせて登ってきた。パパはけんめいにヘビとたたかい、ママは、ぼくを巣から出そうと、おしりをグイグイ押すんだ。ぼくは 怖くって 怖くって、動けなかった。
ヘビが 口を大きく開けて ぼくを飲み込もうとした。どのとき
「チチチチ チチチチ 飛ぶのよ!レイ」
ママが びっくりするほどの大きな声でさけびました。ヘビも驚いて ママを見た。ぼくは その声におされ、思い切り羽ばたいた。そしたら からだがフワッと ういたんだ。
「チチチ チチチ やったぞ レイ!」
「チチチ 飛べたのね かわいいぼうや」
パパ、ママがうれしそうに ぼくのそばにやってきた。下を見たら あのヘビが くやしそうに ぼくらをにらんでいたよ。
ぼく、きみを あんな目に合わせたくないから、ここを選んだんだよ。」
キセキちゃんは、レイ君をとても頼もしく感じました。
「分かったわ。でも、人間を信じていいの?ヘビより こわくないの?」
「ぼくもわからないけど、人間ってヘビがきらいみたいだから、きっと やっつけてくれるとおもうんだf。信じてみようよ。キセキちゃん。」
レイ君 それは 大正解でしたよ。


しばらくして キセキちゃんは たまごを4個 産みました。信じてはみたけれど やっぱり人間がこわいキセキ。うら口からだれか 出てくるたびに 巣をはなれ 様子をうかがいます。人間が たまごに気づきました。そして 心配そうに見ているキセキちゃんに 話しかけました。
「おやおや。今年はこんなところに 巣をかけたんだ。たまごは4個か。きみがおかあさんだろ。だいじょうぶ。見るだけだからね。ちゃんとそだてなさいよ。」
チチ チチ 本当に信じていいの?

からをわって、元気なひなが 4羽 出てきました。とたんに レイ君、キセキちゃん、やすむひまがなくなりました。ひなたちが オレンジ色の口を大きくあけ えさをねだるからです。みんな とっても食いしん坊。だから、どんどん大きくなっていきました。
ある日のこと、ついに あいつがやってきました。あの にっくきヘビです。
「チチ チチ あいつだ!あのヘビだ!」
「チチ チチ 子どもたちを助けて!」
レイ君、キセキちゃん、声のかぎりに鳴きました。

「キセキレイたち やけにうるさいなあ。」
うら口から人間が出てきました。
「このヘビか。ひなをねらっているな。よし、よし。今つかまえてやるからな。」
人間は 長いぼうで あっという間に ヘビをつかまえてくれました。
「チチ チチ ありがとう。たすかった!」
「チチ チチ レイ君、人間を信じてよかったわ。これで 安心ね。」
二羽のキセキレイは うれしそうに しばらくよりそって 鳴いていました。
ひなたちの巣立ちも もうすぐです。
作品名:おかえり レイ君! 作家名:角谷京一