小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

二度目の訪問。

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
その日(タイトル;『ついに来た。』を参照)から、また来週も来るんだなぁと落ち着きがない毎日を送ることになった。

勉強とはどんなものか一人で読んでる内容と教えてくれる内容とではどんな違いがあるのかいろいろ知りたいと思う気持ちはあった。

お母さんの家に帰っている時に数回お母さんの勉強に立ち会ってみたけど、これと言ってどういうものなのかを掴むことは出来なかった。

霊感がないと読めないとか霊感の力でとか…全く意味が分からなかった。

例えば、辞書の中の文章に、
『昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。』
とあったら、私はこの文章を読んで、
『遠い昔におじいさんとおばあさんがいたんだなぁ~。』
と字の如く考えてしまうだろう。
でもこれが字の如くではなく、霊感の力ではどんな訳になるんだろうかと知りたい気持ちもあった。
だから拒むに拒めないもどかしさがあったのも事実だった。

しかし自力で読んで行けば出来ると思ったのも事実。

そんな事で板挟みとなり毎日右往左往したり、お母さんに聞いてもらったり…としていた。

そして次の週の同じ曜日の同じ時間にインターホンが鳴ることとなった。
やっぱり約束通り来た。真面目だ~。

玄関へと出るとこの前とは違う人を連れて来ていた。
カメラには映ってなかったので一人かと思いきや、違った。

おばちゃんは満面の笑みで、
『この一週間どうでしたか?!勉強する気になりましたか?!』
と端っからこんな調子だった。
『あっ、一人で読みたいので…。』
と一応伝えた。
まだ聞いてもらいたいことがあったので、
『あの~、また聞いてもいいですか?』
と伝えたら、
『はい、いいですよ。』
と答えてくれた。

辞書を持って帰って半年ほど一人で読んでいた時に起こったことを話した。

『ぬいぐるみをたくさん持っていたんですけど、夜中に目が真っ赤に2回光ったんです。お母さんに話したら、お母さんも同じ経験があるって言ってました。お母さんが、今思えば悪者のせいだったんだと思うと言ってました。そのぬいぐるみは今のお母さんに貰ったんです。これも悪者のせいですか?!』
私は、信じてもらえるか心配の思いでそう話した。
おばちゃんは、
『はい、それは悪者のせいです。』
とキッパリ断言した。
私は、やっぱりか~とかなりの打撃だった。
まさか自分にこんなことが起こるなんてーっ、自分には一生関わらない領域だったのに~と心の中でかなりの落ち込みようだった。
『10年以上も前の話なんですけど、今のお母さんが私のお母さんの写真を宗教関係の人に渡して、お母さんが早く死ぬように願掛けを頼んでいるみたいで、お母さんのところにその頼まれたという人からストーカーのように毎日電話がかかってきていたみたいで、そのようなことをお母さんは言われていたようです。この願掛けの思いかは分かりませんが、そういうことでぬいぐるみの目が光ったとか考えられますか?!』
おばちゃんはめちゃくちゃ驚いた表情で、
『えぇ、えぇ、そうです。その宗教の力がとても強いんだと思います。』
と肯きながら言った。
そして私は、お母さんの家での出来事も話した。

(タイトル;『辞書。始まりのための始まり。』を参照)
軍服の姿の人を後ろで汚らしい男の子が持っていたという話をして、男の子のことを目が大きくて汚い格好をしていてと詳しく話していたら、おばちゃんの目が開いて、
『その話は聞いたことがあります。目が大きいと言うのは聞いたことがあります。その男の子をあなたは見たんですね。』
と驚いたままそう言った。
『はい、見ました。何回も目も合いました。私と目が合うと男の子は、目を見開いて怖がっていました。』
『あなたを見て怖がっていたんですね。』
『はい。歌うと耳をふさいで嫌がっていました。聖書を見せても嫌がっていました。本当に聖書は強いんですね。』
私が聖書という言葉を出したらおばちゃんの表情がニコッとなって、
『はい、聖書の言葉は神の言葉ですからね。神の言葉は生きています。』
と言った。
なぜだろう…私は困った…。
そして、私は続けた。
『それで私は、出入口を見つけたんです。』
『出入口?!…聞いたことはないですね…。でも、出入口を見つけられたんですね?!』『はい。仏像の半眼の中を覗いたら男の子と同じような姿の人がたくさんいました。』
『どうやってその出入口を見つけられたんですか?!』
『あっ、目で見ても分からないと思ったので、感じ取ったら分かるかと思ったんです。それとお母さんに仏壇が怪しいと言われたので、見に行ったんです。覗きこんだら中からこっちを除きこんでいました。目が合うと男の子と同じように、ギャーッて嫌がられました。』
そう話すとおばちゃんはしばらく黙って肯いていた。
『それで、ぬいぐるみの目が光ったので、まさか出入口があるんじゃないかと探したんです。そしたら目が光ったぬいぐるみの後ろにいたぬいぐるみの目がグニャグニャとうごめいていて、あってしまった~と落ち込みました。』
黙っていたおばちゃんは口を開いた。
『また出入口があったんですね!!』
『はい、ありました。でも除きこんではいません。』
『そうです、そうです。除きこんではいけません。』
と言われて、合いの手ってそこかなぁ~と疑問に感じた。
『その見たモノは悪者の手下ですか?!たくさんいたので親玉ではないと思ったんです。』
『はい、手下ですね。』
とまたキッパリと断言してくれた。
『それで、怖くなったので、ぬいぐるみを全て捨てたんです。』
『まぁ~、それは正しい選択だと思います。それはとてもいいことだと思います。』
『それで、ぬいぐるみを捨てて家に戻って来て、それからすぐに電子レンジを使ったんですけど、全く動かなくなってしまったんです。その電子レンジはお母さんが買ってくれたもので、ぬいぐるみを捨てたからお母さんに関わるものがこんなことになったのかなぁと思ったんですけど、これはどういうことですか?!お母さんは絶対そうだと言い張るんですけど…。』
と言うとおばちゃんはまた驚いていた。そして、
『悪者の仕業かもしれませんね。…この半年間でいろいろおありになったんですね。ずっとお話を聞いていますとどうもあなたは霊感がお強いんじゃないかと思うんですね。そして悪者が寄ってくるのかもしれません。…もちろん今のお母様の宗教も関係しているのかもしれませんけど、私はやっぱり勉強をした方がいいと思うんですね。勉強が嫌でしたらこんな風にお話するだけでも構いませんしね。私共とお話をしたりお勉強をして悪霊に勝つ力をお付けになることをおすすめします。このままでは心配なので…。どうですか?!もし他の人がいると嫌でしたら次からは私一人で伺いますけど…。どうですか?!』
となって行った。

自分としては何か引き止められるものを感じていたのもあって、
『…はい…、それの方がいいです。でも、勉強はいいです。』
と疑いの気持ちの中そう言った。
『では、また来週同じ時間に来ますね。』
とこちらの意見もなくおばちゃんはそう決めて帰って言った。

すぐにお母さんに電話して今の話をした。
作品名:二度目の訪問。 作家名:きんぎょ日和