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超絶勇者ブレイブマン その24

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「へぇ、それじゃあ、正義とは2年の付き合いなんですね」
 車に乗って別荘へ向かう途中、幸子が家政婦になったばかりの頃の話をする機会があった。そもそも彼らは、一見長い付き合いのように見えるし、実際勇気、愛、可恋は小学1年生からの付き合いだが、正義と夢がこのグループに加わったのは1週間にも満たない。勇気と希望は中学1年生のときも同じクラスだったが、改めて自己紹介をしておいた方がいいだろうという話になったのだ。
 しかし、正義は相変わらず自分のことはあまり語りたがらず、代わりに過去について語り出した幸子の話を聞いているときに、勇気が先ほどの台詞を言ったのである。
「でも、せいぎくんが引っ越してきたのってつい最近ですよね? 幸田さんも一緒に引っ越してきたってことですか?」
「ええ、そういうことになりますね」
「せいぎくんのお父さんって全国を飛び回ってるって聞いたんですけど、大変じゃないですか?」
「大変、……ではないと言ったら嘘になりますけれど、旦那様は私の命の恩人ですから。一生かけて恩を返そうと誓ったんです。そのためなら、例え外国へでもついていくつもりです」
「命の恩人? 車に轢き逃げされたところを助けてもらったとか?」
「そうですね。多くは語りませんが、そのようにお考えいただければ幸いです」
 幸子は含みのある言い方をしながらささやかに微笑んだが、何か大人の事情があるのだろうと愛は納得し、深く詮索はしなかった。
「運命的ですね、素敵です!」と夢は嬉しそうにはしゃいでいた。夢はこの場にいる女子の中でも一番乙女チックな話が好きなのだ。携帯小説や少女漫画もよく読んでいる。
 そうこうしているうちにも車外の景色は移り変わり、いつしか自然に囲まれていた。車は山道を進んでいく。
「もう少しで別荘に到着致しますが、舗装された道は途中までです。ですので、10分ほど山道を歩く必要があるので、そのつもりでお願い致します」
「げっ、マジかよ。そんなの聞いてないぜ」
「まあ、いいじゃないか。ちょうどいい運動になりそうだしさ」
「森林浴って言って健康にもいいらしいしね、勇気くん」
「つーか、歩くのが嫌なら、なんのために山に行く気だよ」と正義が毒づく。挙句の果てに、帰っていいぞと言わんばかりに、しっしっと手を振ったが、もうそんなことで怒るようなことはなかった。
「……そこに山があるからかな」
「登山家じゃん!」
 愛が突っ込みを入れると、駐車場の立看板が見えてきた。広大な空の下にある見晴らしのいい駐車場だ。登ってきた山道を見下ろすこともできる。こんな山中で、どんな用事があるのかは分からないが、ちらほらと他の車も駐車していた。
 幸子はできるだけ入り口近くになるように駐車し、先に自分ひとり降りてみんなが降りられるように扉を開けた。それは家政婦としての気遣いであった。
「……あれ、可恋ちゃん、ちょっと顔色悪くない?」
「う、うん、ちょっと車酔いしたかも。ぎゅうぎゅう詰めだったし」
 愛は車から降りながら親友の体調不良に気付いた。乗り物酔いの薬ならありますよと幸子が言ったが、酔ったあとに飲んでも効果は薄いだろう。それでも気休めに飲んだが、別荘に着くまでの間、愛は可恋の背中をさすりながら進むこととなった。